京都大学の入試問題の出題傾向を徹底分析! とるべき対策や勉強方法がわかる!

京都大学の入試問題の出題傾向を徹底分析! とるべき対策や勉強方法がわかる!

2024年 06月 27日

傾向と対策(前期日程)

2023年度までの前期日程の入試問題を分析しました。さらに詳しい最新の分析は「大学赤本シリーズ」をご覧ください。

【目次】

【英語】

傾向

深い理解力=言葉を操る力 日本語・英語を自在に駆使することが不可欠

出題形式 例年、大問4題
試験時間 120分
解答形式 記述式

出題内容

  • 読解問題2題。英作文問題2題(和文英訳・自由英作文)

①読解問題

  • 出題英文の内容は高度。抽象度の高い英文と具体的内容の英文が1題という組み合わせで、科学、歴史、哲学関連の英文が多い。下線部和訳、内容説明問題、下線部の内容を日本語で説明させる問題、英文中の空所に入れるのに適切な語を選ぶ問題、空所補充など。

②英作文問題

  • 和文英訳:1問につき3〜5文。英訳の対象となる日本文は、こなれた表現の多い随筆的な文章。
  • 自由英作文:会話文の空所に適切な発言を英語で書く形式など。年度により読解問題の中で100語程度の自由英作文が出題されたこともある。

難易度

  • 難問。読解、英作文とも、逐語訳では太刀打ちできず、高度な内容を十分に消化した上で、日本語・英語で表現する必要がある。英作文は手早くすませて、読解2題に時間を十分かけられるようにしたい。

対策

①豊かな語彙を蓄える

  • 英語でも日本語でも、単に知っているというレベルではなく、自分がそれを使っているというレベルにある語句を増やす。
  • 和文英訳では、問題文の日本語がこなれているので、日本語の中での言い換えができることも大事である。
    • 例えば…2017年度の出題の一部「確かな知識を身に付ける」→「正確な情報」と解してcorrect information「深い知識」と考えればdeep knowledgeなど。この言葉がその文脈でどういった意味で使用されているのかを読み取り、別の日本語に置き換えていく必要がある。
  • 線部和訳の場合、知らない語句をすぐに辞書で調べるのではなく、ひとまずこのような意味ではないかと推測して訳文を作る。それから辞書で確かめる。
    • その際、英和辞典の見出しに続く訳語はあくまでサンプルであり、何が適当な訳語になるかは文脈によって決まるということを意識する。
  • 辞書の見出しに載っていない訳語をどれだけ自分の頭の中の辞書に蓄えているかが、英文和訳の速度と的確さを左右する。

②文章の把握力を養う

  • 「結局、何が言いたいのか」ということが理解でき、自分の言葉でそれを説明し直せる力が必要。
  • 読解問題は、下線部中心の読解ではなく、全体を素早く的確に読み通せる読解力を養成する。見慣れない語句が入っていても、前後関係から推測できるようにする。
  • 取り上げられているテーマについて、筆者がどのような立場をとっているかに注意し、和訳箇所が全体の流れと食い違わないように解釈する。

③直訳を大切にする

  • 「意訳」は必要だが、「飛躍」してはいけない。
  • 大学受験での「意訳」は、「直訳では不自然になる箇所に修正を加える」こと。
  • 和訳は「内容の説明」ではない。
  • 主語は、動詞は、文型は、この前置詞句は何を修飾するのか、不定詞・分詞はどういう用法か、そういったことをひとつひとつきちんとみていく。
  • 英作文問題についても、和訳の際の「直訳」が底力になる。英語から日本語へ直訳しておけば、英語の構造がどういうものか体得できる。

④読解問題の攻略

  • 「必ず訳文を書く」を心がける。
  • 和訳の練習としては、③ で述べた「直訳」を心がける。
  • 英文を分析したら「何がどうした」という一番土台になるところを必ずメモする。
    • この段階で文型の要素まで考えておく。そのあとで修飾語句や節を足していく。

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『英文標準問題精講』『基礎英文問題精講』(旺文社)

⑤英作文の攻略

  • 「まず書く」ことから始まる。過去問が練習材料になる。
  • 『京大の英語25カ年』の英作文問題の解説をじっくり読んで、どのように日本語をパラフレーズすればよいかを身につける。そうすれば…
    • 土台となるSVをどう設定するか。
    • 文を構成するための文型・文構造はどういったものが最適か。
    • 修飾語句は何を使って(たとえば、不定詞・動名詞・関係詞・現在分詞・過去分詞のいずれかを使うのか)、それをどこに配置するのか。

      といった見通しが立てられるようになる。

  • 会話文の空所に適切な発言を英語で書く問題。
    • 東大の過去問が有効、2021年度以前に類似問題が出題されている。

☞オススメ参考書『東大の英語25ヵ年』(教学社)

  • 添削してもらう。ただし、書きっぱなしで持っていくのではなく、自分で検討できること(時制や数、冠詞などの点検、辞書で確認できる程度の語法など)は全部やっておく。

【数学(理系)】

傾向

計算力・論証力・図形的センスが求められる 高度な問題多し

出題形式 大問6題
試験時間 150分
解答形式 全問記述式

出題範囲

  • 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数列、ベクトル)

頻出項目

  • よく出題される分野は、微分・積分、確率、三角関数、整数の性質
  • 数列、極限、ベクトル、複素数平面

出題内容

  • 証明問題は1,2題出題されることが多い。筋道の論理的厳密さと、相手(採点者)に正確に伝えるための表現力が重要な要素となる。
  • 図形的な直感力と判断力を必要とする問題も多く、図示問題もときどき出題され、論証問題と合わせ、大きな特徴となっている。図形的知識が複雑な計算の手助けとなることがあり、それを意図して作られた問題も多い。
  • 高度な計算力を要する問題も多い。特に三角関数の諸公式を自在に活用する力や、積分計算の技術力は、合格のためには不可欠。

難易度

  • 2018・2019年度はやや易化傾向にあったが、2020年度は難化、2021年度以降は再び易化傾向が続いている。各年度ともやや易レベルから難レベルの問題までずらりと並んでいる。
  • 最初にすべての問題に目を通し、解答しやすい問題を見極め、素早く確実に解答することが大事である。その上で、時間に余裕をもって残った問題に取り組もう。

対策

①基本事項をマスターしよう

  • どんな難問も、それを解くのに最低限必要となる公式や解法は、教科書や標準問題集で十分マスターできる。受験準備の早い段階で意識的に身につけて、まずは、基本事項をマスターしよう。

②応用力の育成

  • 1題に対して複数の解法がないかなど多角的にアプローチする習慣をつけ、柔軟な思考力を養う。
  • 問題を解くために使われた公式や解法で少しでも完全にマスターに至っていないものがあれば、その場で実戦的に理解するようにする。
    • 自分用の「数学解法ノート」を作成し、「これは」と思う解法を発見したり、参考書などで学んだりしたときに、使った場面とともに書き留めておく。

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③頻出項目のチェック

  • 頻出項目や重要項目については、毎日の勉強の中に確実に組み込んで十分な練習を心がける。
  • いくつかの分野が融合されることや、さまざまな分野からのアプローチが可能なことも多い。あるいは、普段解き慣れていない方向からの、意表をつく出題もある。
  • どのような問われ方をしても対処できるような柔軟性を身につけるとともに、応用力を必要とする難問にもチャレンジし、いろいろな観点から問題を掘り下げて解く練習もやっておきたい。

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④計算力の強化

  • 複雑で手間のかかる計算を最後までやり抜く粘り強さや、計算技術(特に三角関数の式変形と積分技術)の習得に努める。
    • 計算技術が伴わなければ応用性の高い問題を征服することはできないし、妙案を思いついても途中の計算でつまずいてしまうことがある。

⑤論証問題への対応:日々の勉強の中での考える習慣が大事

  • 京大数学で求められる厳密な論理的思考力やそれを正確に採点者に伝えるための表現力が必要。
  • 1題1題丁寧に、いろいろな角度から別解を考えてみる。
    • 手間のかかる計算によって苦労して解いた問題が、別の視点から眺めるとあっけなく解けてしまうこともある。
  • 論理的な筋道を正確に要領よく表現する練習をする。
    • 教科書や参考書の例題を手本にする。

⑥図形的判断力を養う

  • 初等幾何の知識を整理し、要点をピックアップする。自分で納得しながら重要な定理を拾い出してまとめておく。
  • 空間図形の感覚を養う。空間ベクトル、体積計算などの問題を通じて、立体図形をとらえるコツを身につける。
  • 日頃から図形的な視点で問題を再構成してみる習慣をつけておく。

【数学(文系)】

傾向

計算力・論証力・図形的センスが求められる 高度な問題多し

出題形式 大問5題
試験時間 120分
解答形式 全問記述式

出題範囲

  • 数学Ⅰ・Ⅱ・A・B(数列、ベクトル)

頻出項目

  • よく出題される分野は、微分・積分、平面・空間図形、ベクトル、整数の性質、確率、数列

出題内容

  • 証明問題では、筋道の論理的厳密さと、それを相手(採点者)に正確に伝えるための表現力が重要な要素となる。
  • 図形的な直感力と判断力を必要とする問題も多く、図示問題もときどき出題され、論証問題と合わせ、大きな特徴となっている。図形的知識が複雑な計算の手助けとなることがあり、それを意図して作られた問題も多い。
  • 高度な計算力を要する問題も多い。特に三角関数の諸公式を自在に活用する力は、合格のためには不可欠。

難易度

  • 易化と難化を繰り返している。標準問題中心の出題であるが、やや難レベルの問題が1,2題含まれていることが多い。
  • 実際の試験では、最初にすべての問題に目を通し、解答しやすい問題を見極め、素早く確実に解答することが大事である。その上で、時間に余裕をもって残った問題に取り組みたい。

対策

①基本事項をマスターしよう

  • どんな難問も、それを解くのに最低限必要となる公式や解法は、教科書や標準問題集で十分マスターできる。受験準備の早い段階で意識的に身につけて、まずは、基本事項をマスターしよう。

②応用力の育成

  • 1題解くごとに、解法を点検して必ずそこから何かを吸収するという態度が大切。
  • 問題を解くために使われた公式や解法で少しでも完全にマスターに至っていないものがあれば、その場で実戦的に理解するようにする。
    • 自分用の「数学解法ノート」を作成し、「これは」と思う解法を発見したり、参考書などで学んだりしたときに、使った場面とともに書き留めておく。

③頻出項目のチェック

  • 頻出項目や重要項目については、毎日の勉強の中に確実に組み込んで十分な練習を心がける。
  • いくつかの分野が融合されることや、さまざまな分野からのアプローチが可能なことも多い。あるいは、普段解き慣れていない方向からの、意表をつく出題もある。
  • どのような問われ方をしても対処できるような柔軟性を身につけるとともに、応用力を必要とする難問にもチャレンジし、いろいろな観点から問題を掘り下げて解く練習もやっておきたい。

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④計算力の強化

  • 複雑で手間のかかる計算を最後までやり抜く粘り強さや、計算技術(特に三角関数の式変形)の習得に努める。
    • 計算技術が伴わなければ応用性の高い問題を征服することはできないし、妙案を思いついても途中の計算でつまずいてしまうことがある。

⑤論証問題への対応…日々の勉強の中での考える習慣が大事。

  • 京大数学で求められる厳密な論理的思考力やそれを正確に採点者に伝えるための表現力が必要。
  • 1題1題丁寧に、いろいろな角度から別解を考えてみる。
    • 手間のかかる計算によって苦労して解いた問題が、別の視点から眺めるとあっけなく解けてしまうこともある。
  • 論理的な筋道を正確に要領よく表現する練習をする。
    • 教科書や参考書の例題を手本にする。

⑥図形的判断力を養う

  • 初等幾何の知識を整理し、要点をピックアップする。自分で納得しながら重要な定理を拾い出してまとめておく。
  • 見かけは図形と無関係な問題であっても、それを図形的にとらえることで、問題の構造がはっきりすることもある。
  • 日頃から図形的な視点で問題を再構成してみる習慣をつけておく。

【物理】

傾向

基礎事項の正確な理解と応用力・計算力が必要

出題形式 大問3題
試験時間 教育学部理系試験は1科目90分、その他の学部は2科目180分
解答形式 例年、空所を埋めて長文を完成させる形式が中心。近年は論述問題(計算・導出過程を求められる記述式の問題を含む)が増加し、連続して出題されている。描図問題もほぼ毎年出題されている。

出題範囲

  • 物理基礎・物理

頻出範囲

  • 例年、力学から1題、電磁気から1題が必ず出題され、その他の分野(熱力学、波動、原子など)から残りの1題というパターンが多い。

出題内容

  • 各問題の初めには基本的な設問があり、文章の指示、誘導に従って計算していくと結論が導き出せるようになっている。
  • 文章の読解力、計算力、グラフを読み取るといった思考力を要する設問が多い。
  • 京大らしいユニークな内容の設問もある。
  • 例)
    • コンデンサー内の電荷の移動(2017年)
    • 速さの2乗に比例した抵抗力(2018年)
    • 薄膜による光の多重反射(2019) 
    • 断熱膨張(2020年)
    • 中性子に対する重力の影響(2021年)
    • ゴムヒモの熱力学(2022年)
    • 多数の偏光板による偏光(2023年)、など

難易度

  • 全体的に、基本的な問題と、やや難解な設問とがバランスよく組み合わされている。
  • 問題の初めの基本的な設問を取りこぼしなく素早く解答し、続く難問に時間の余裕をもって取り組みたい。

対策

① 基礎事項の系統的理解:物理の学習には基礎が大切。

  • まずは力学、電磁気、熱力学、波動、原子の各分野の基礎事項を系統的に理解する。
  • 力学の諸法則を適用して他の分野、特に熱力学、電磁気、原子物理の現象を考察させる問題がよく出題されているので、力学の基礎と応用力をつけ、他の分野の学習においても力学の諸法則と関連を考えながら学習する。

② 題意を正確にとらえる読解力を養う:長い文章の空所補充問題が毎年出題。

  • 過去問やそれに類似する問題を解いて練習をする。
    • 文章をよく読まないで題意を憶測して解いたり、途中で答えを見たりしないこと。
  • 題意を正確にとらえるためには図やグラフを描くことが大切。
  • 計算・導出過程を求められる設問に対して、論理立てて答案を書く練習をする。

③ 迅速かつ正確な計算力を養う

  • 近似計算が必要なパターンはある程度決まっているので(力学の微小振動、熱力学の断熱変化、光波の干渉、原子からの光の放出など)、類似問題を多く解いて慣れておくこと。

④ グラフを解析する力を養う

  • グラフは高校の教科書などでは見慣れないものが多いが、問題文をよく理解すればそう難解ではない。
  • いろいろな物理法則をグラフで表せばどうなるか、日頃から注意しておく。

★見たこともない問題が出てもあわてない

 難解な物理現象を高校物理の範囲で解けるようにアレンジして出題するのが、 京大入試の最大の特徴であると言ってもよい。しかし、こういう問題は大変丁寧な誘導があるのでかえって解きやすく、あわてる必要はまったくない。

 問題文をよく読んで誘導に従って解いていけば十分完答できるものが多い。

【化学】

傾向

有機化合物の構造決定は必出、思考力・応用力・計算力など、

高いレベルでの総合力を要す

出題形式 大問4題。ただし、1題の中で(a)、(b)などの中問に分けられていて、実質5〜8題分になることもある。
試験時間 教育学部理系試験は1科目90分、その他の学部は2科目180分
解答形式 全問記述式。計算問題では計算過程が要求されることもある。論述問題が出題されることもあり、出される場合は1問当たり30〜50字程度の問題が出題されることが多い。

出題範囲

  • 化学基礎・化学

出題内容

  • 大まかに分類して、例年、〔1〕〔2〕は理論中心で、無機・有機の内容が含まれることも多い。〔3〕〔4〕は有機分野でほぼ一定している。
  • 理論分野
    • 結晶格子、酸・塩基の反応や酸化還元反応がよく扱われている。
    • 反応速度や化学平衡に関してはかなり高度な内容が問われる。
    • 化学平衡は、多くの年度で出題されている。
  • 無機分野
    • 単独で出題されていることはほとんどなく、理論分野の題材として扱われている。無機工業化学が扱われることもある。
  • 有機分野
    • 〔3〕で炭化水素、エステルなどを中心に有機化合物が扱われている。特に、元素分析やいろいろな反応を利用しての構造決定が中心。
    • 〔4〕は、ほとんど例外なく高分子有機化合物や生体内物資が扱われている。

難易度

  • どの問題も、比較的易しい知識の確認から始まり、しだいに高度な設問になるように構成されている。
  • 問題文の的確な読解力、高い計算力、深い思考力など総合力が要求される問題が多い。また、試験時間に対して問題量が多いので容易に完答できない。まずは、問題全てに目を通し、できる問題から手をつけるなどの対策をしておきたい。続く難問に時間の余裕をもって取り組みたい。

対策

①理論分野

  • 教科書にある基本的な知識を確かなものにし、理論分野を徹底的に理解し、標準的な問題集を使って演習量を増やす。
  • 計算問題では、計算ミスのないようにすることが大切である。日頃から電卓などを使わずに、自分の手で計算するようにしておく。
  • 有効数字についての知識も確実にしておく。

②無機分野

  • 教科書では、似た性質の元素や化合物をひとまとめにして学習するようにしているため
    • 典型元素については、周期表の各族ごとに性質や反応が示され
    • 遷移元素については、いくつかの元素が周期ごとに示されている
  • それぞれのまとまりの中で、
    • たとえば、1族ならNa、2族ならCaについてというように、まず代表的な元素をまとめ、他の元素について、その代表的な元素の性質とどこが違うのか調べるようにしていくとよい。代表的な元素とその化合物の関係などを図にしておくとよい。
    • さらに、気体発生反応、化学工業、陽イオンや陰イオンの系統分析といった、別の切り口でまとめるのも有効な方法である。
  • 扱われる反応について、各種の理論的な考察を加えて量的に捉える方法も身につけておくとよい。

③有機分野

  • 炭化水素は特徴的な構造と反応、ヒドロキシ基とアルデヒド基などの官能基はそれぞれの関係を、系統的に矢印などで結んで図にしておくと、理解しやすく効果的。
  • 化合物の異性体や構造決定に関するものを中心に演習問題をする。
  • 高分子化合物については、単量体や重合体の構造・結合の仕方など、細かな点まで覚えられるように学習する。
  • 糖類、タンパク質、脂質などの天然有機化合物だけでなく、合成繊維、合成樹脂など身近な物質についても興味を持っておく。
    • 新聞などの科学記事に目を通しておく。
  • 高分子化合物と理論分野の関わりで、計算を要する標準的な問題も十分にこなしておく。

④過去問の研究

  • 標準的な問題の演習がある程度まで進んだら、過去の出題例を見てみる。
  • 問題ごとの難易度にもよるが、理解不足の分野は非常に難しく感じられるはずである。あせらずに、赤本の〔解説〕にしめされた論理的思考の流れや道筋を体得し、不得意な分野をなくすように学習しよう。
  • どの問題から解答するのが総合的な得点アップにつながるかを予測しておくのも重要なことである。

【生物】

傾向

未知の題材で応用力と理解力をみる 

実験・考察問題中心で論述力が必須

出題形式 大問4題。ただし、1題の中で(A)、(B)などの中問に分けられていて、実質6〜8題程度になることもある。
試験時間 教育学部理系試験は1科目90分、その他の学部は2科目180分
解答形式 全問記述式。論述問題の分量が多く、計算問題は結果のみで過程は要求されないことが多い。

出題範囲

  • 生物基礎・生物

頻出分野

  1. 遺伝情報…遺伝情報の発現やその応用問題が出題されることが多い。
  2. 動物・植物の反応(反応・調節)、体内環境
  3. 生殖・発生…最近は実験考察が中心となっている。
  4. 細胞、代謝…細胞小器官や生体物質についての知識や細胞膜の性質など
  5. 生態…植物の光合成とからめて出題されることもある。
  6. 進化・系統

出題内容

  • 京大の生物は「知識問題」+「考察問題」の2本立て。
  • 思考力・総合的な理解力・判断力を必要とするものが中心。
  • 問題はグラフ・模式図などを使って構成されたユニークなものや各種データについて考察させるものが多い。

難易度

  • 全体として、相互の関連性を踏まえた総合的な知識・論述力が必要であり、かなり難度が高い。
  • 考察問題でどれだけ得点できるかがポイント。また、試験時間に対して論述量が多い。知識問題を先に終わらせて、論述問題になるべく多くの時間がとれるように時間を配分したい。

対策

①論述の練習

  • 問題集などで時間や字数を設定して、実際に文章を書いてみる。
    • わかっているということと、簡潔で要領を得た文章を書けるということは、まったく別のことである。
  • 練習を重ねることによって、説明の仕方やポイントのとらえ方などを会得していく。
  • 添削指導を受ける。

② 実験・考察問題

  • 実験結果の資料についての分析や推論は例年出題されているので、問題集などを利用して十分に練習しておく。
  • 教科書の図やグラフ・表などの内容はしっかり理解し、問題集や図説などによく出てくる図やグラフは自分でも描けるようにしておく。
  • 仮説の設定や実験計画、データ処理の方法、実験器具の使い方や実験方法などもしっかり押さえ、生物の研究方法に関連した出題にも対応できるようにする。

③ 頻出分野の重点学習

  • 「頻出分野」であげた項目は十分に学習しておく。
  • 分子生物学や免疫などについても、最近の話題も含め十分に学習しておくとよい。
  • 「生態」や「進化・系統」は、ともに総合的な出題の土台となりやすい分野であるので十分に習熟しておく。

【地学】

傾向

論述・計算問題が中心

宇宙、地球、地質・地史、岩石・鉱物は総合理解を

出題形式 大問4題
試験時間 教育学部理系試験は1科目90分、その他の学部は2科目180分
解答形式 全問記述式。記述・計算問題が中心。論述問題は字数制限がある場合とない場合がある。計算問題は途中の過程が要求されることが多い。他に描図問題。

出題範囲

  • 地学基礎・地学

出題内容

  • 〔1〕宇宙、〔2〕大気・海洋、〔3〕地球、〔4〕地質・地史からの出題を中心に、特に固体地球に関わる諸分野では、複数分野の内容が融合して出題されることが多い。
  • 宇宙・地球分野のウエートが大きく、これらには物理的・数学的知識を必要とするものも少なくない。

難易度

  • 全体的にみると、特別な難問はあまりなく、よく練られた良問が多い。
  • そのような中では基本的な問題の取りこぼしをなくすことはもちろんであるが、ややハイレベルな応用力を必要とする総合問題に、どれだけ突っ込んで解答していけるか、これが合否のカギを握っているといえる。試験時間に対して問題の分量が多いので、問題の難易を見極めて、確実に解答できるところから手をつけていこう。

対策

①教科書・図表中心の学習

  • 教科書のすみずみまで発展事項やコラムまで含めて目を通し、また、図表集を徹底的に活用して、まずは「地学基礎」の内容を深め、地学特有のものの見方、考え方に慣れておく。

②論述・計算・描図対策

  • 論述問題
    • 出題内容は基本的なものが多いが、比較的限られた解答欄の中で短時間に的確でポイントを押さえた解答を手際よく仕上げる必要がある。
    • 京大の過去問はもちろん出題傾向の似た他大学の論述問題にもできるだけ多く当たる(北海道大・名古屋大・九州大など)。
    • 必ず自分なりの解釈をして文章に表しておくこと。
  • 計算問題
    • 指数計算、近似計算のテクニックが必要なこともあるので、十分に練習して慣れておく。
  • 描図問題
    • 教科書・図表集を漠然と眺めるのではなく、必ずその場で自分の手で描き直し、細かいところまで再確認しておく。
    • 地質図や等値線図を見て、立体的な構造を的確に思い描けるスキルを身につける。

③分野別対策

  • 宇宙:京大地学ではウエートの大きい分野。
    • 特に太陽の活動とエネルギー、恒星の物理的性質、惑星の特徴と運動などがよく出題される。
    • 太陽系の形成史や恒星の進化、銀河についても要注意。
  • 固体地球
    • 地震をはじめとする地球物理関係の出題が多い。火山とともに自然災害として日常生活に密接につながっており、それらを研究対象とする研究者が多い京大ならでは。
    • 地質・地史、岩石・鉱物分野との融合問題はもちろんのこと、宇宙分野との融合問題も出題されている。
    • プレートテクトニクスに関連する諸現象については、詳細な内容まで相互に関連づけて深めておく。
    • 火山と火成岩、原始地球以来の惑星空間・大気・海洋・地球内部をも含めた環境変還史等も学習しておく。
    • 地質図関係の読図、描図作業も十分こなしておくこと。
  • 大気・海洋
    • 基礎的な内容が多いとはいうものの、力学的な内容や大気・海洋の相互作用、エネルギー収支など、用語の暗記学習だけでは対応できないものもあるので注意。
    • 大気大循環や地球環境問題、身近な天気現象との関連などには要注意。

◆プラス α の学習を◆

  • 地球・宇宙に関する科学は、日々進歩発展しているが、最先端の内容が教科書にすぐ反映されるわけではない。
  • 京大は地球・宇宙科学界のリード役の一翼を担っており、地学が自然災害や環境問題などの実生活と密接に結びついた内容を含んでいるという観点からも、教科書や図表集以外に数冊でよいので、地球・宇宙関係の一般書にもふれておきたい。

『徹底図解 地球のしくみ』『徹底図解 宇宙のしくみ』(いずれも新星出版社)などが適当である。

【日本史】

傾向

時代・分野・形式とも網羅的な出題

基本事項でも問い方によっては難問に

出題形式 大問4題。例年、〔1〕史料問題、〔2〕小問集合、〔3〕総合問題、〔4〕論述問題という構成。ただし、〔1〕〔3〕はそれぞれA・B・Cの中問に分けられる。
試験時間 90分
解答形式 記述問題と論述問題(2問)が中心。年度により短文の論述問題、選択問題、配列問題など。

出題内容

  • 〔1〕は史料問題。例年3つの史料文が出題され、設問は語句や短文を答えさせる記述・論述法が中心(20問)。
  • 〔2〕は約10種類の短いリード文を利用した問題。設問は文中への空所補充による記述法。(20問)。
  • 〔3〕は3つのリード文を利用した問題。設問は語句を答えさせる記述法と文中への空所補充による記述法中心。一部に論述法や選択法(30問)。
  • 〔4〕は論述法。例年、論述すべきテーマのみが提示されるシンプルな設問形式(200字2問)。
  • 時代別
    • 原始から戦後まで広範に出題されている。例年、原始・古代、中世、近世、近現代からそれぞれ4分の1程度出題される。
    • 〔4〕の論述問題も原始〜現代のどの時代からも出題されている。
  • 分野別
    • 政治・外交・社会経済・文化の全範囲から出題されている。
    • 文化史は、全般的な傾向として、配点にして25点程度が出題されることが多い。
  • 史料問題
    • 高校教科書掲載の史料より、市販の史料集掲載史料や初見史料からの出題が多い。
  • 論述問題…代表的な形式は次の2パターンである。
    • 事象の展開過程を問うタイプ
    • 例)「防共協定が三国同盟に至った経緯・背景」(2023年度) 「鎌倉後期~室町中期の日中関係」(2022年度) 「19世紀前半の江戸幕府の対外政策」(2022年度)
    • 時代や事象について多面的に説明させるタイプ
    • 例)「院政期~鎌倉時代の宗教・文化の広がり」(2023年度)「徳川家綱の時代」(2021年度)「田沼時代の財政政策」(2020年度)

難易度

  • 大半は教科書の標準的な内容を問う問題。
  • 試験時間にも留意したい。90分で〔1〕〜〔3〕の記述問題70問、〔4〕の論述問題2題に答えなければならない。論述問題にあてる時間を多く確保するためにも記述問題でのスピーディーな解答が要求される。

対策

①京大の日本史対策としては何をおいても教科書学習が第一!

  • 教科書の地の文に書かれている背景・目的・結果などに注意して熟読しながら、歴史用語を正しく書く練習を並行して行おう。
  • 単なる歴史用語の暗記にとどまらず、歴史に関する考察力を養っていく。
    • 記述問題と論述問題の両方で高得点を獲得することができる。
  • 戦後の文化といった分野からも出題されるので、怠らないようにする。

②記述対策:正確な記述を心がける。

  • 文化史でも書名や作品名まで正確な記述を求める問題が多く、誤字は命取りになる。
  • 普段の学習でも書いて覚えることを意識し、教科書・用語集の表記にも注意する。

③史料対策

  • 初見史料の得点力アップの近道は、一問一答式の暗記にとどまらず、「ストーリー」を把握し、推理・連想力を高めること。
  • 何らかの歴史用語を見て、時代や関連事項を推理できれば答えられる設問が多い。
  • どの文言が内容特定のキーポイントになるのかを意識しながら読んでいく。
  • 市販の史料集を通読し、既読史料を増やし、史料特有の表現に慣れる。

☞オススメ参考書『詳説 日本史史料集』(山川出版社)

④論述対策:因果関係に注意した教科書対策を徹底する。

  • 事象の展開過程を問うタイプは、教科書に繰り返し出てくる用語(例:「国司」「金本位制」)について、前の時代ではどうであったかを意識する。
  • 時代や事象について多面的に説明させるタイプは、政治・外交・社会経済・文化といった多角的な視点から考察することが大切。 ⇒「近世の農村・農政」や「近世の外交・経済」など頻出テーマ。
  • 教科書を見ながらでよいから過去の論述問題の答案を作成する練習を繰り返し、論述問題に慣れていこう。
  • 答案に対する添削指導を受けることが望ましい。
  • 解答は標準的な用語であっても、用語の正確な意味や関連事項に関する知識がなければ正答できない問い方をするのが特色。記述問題と論述問題を合わせて7割以上の得点をめざしたい。記述問題の1割程度でやや細かい用語が問われるが、そのような設問は正答できなくても合否に影響しない。一方で、記述問題対策だけでは合格点に達することが難しいため、配点の大きい論述問題でも確実に得点する必要がある。

【世界史】

傾向

長文論述は設問条件の把握が決め手

記述法は広範囲で幅広い学習が必要

出題形式 大問4題。〔2〕と〔4〕はA・Bに分けられる。
試験時間 90分
解答形式 〔1〕〔3〕は長文論述。〔2〕〔4〕は語句記述と短文論述。

長文論述はそれぞれ300字と一定しており、使用語句が指定される場合も。

出題内容

  • 地域別
    • 〔1〕〔2〕はアジア地域。〔3〕〔4〕は主に欧米地域からの出題。
    • アジア地域では、中国史は必出。他は、主に西アジア(特にイスラーム世界)、インド、朝鮮史からの出題が多い。
    • 欧米地域では、西ヨーロッパ、北アメリカ、東欧・ロシアからの出題が多い。
  • 時代別
    • アジア地域でも欧米地域でも、古代から現代まで満遍なく扱われており、各大問ごとで、特定の時代に偏らないような作成上の工夫がなされ、全体として幅広い時代(21世紀も含む)からの出題となっている。
  • 分野別
    • 政治史からの出題が大半を占めるが、社会・経済・文化史もバランスよく出題。
    • 文化史は、政治史と関連させて長文論述として扱われる場合もあれば、小問単位で出題されることも多く、必ず押さえておきたい。

難易度

  • 長文論述:世界史理解に欠かせない基本的・重要なテーマを扱うため、設問が指定する時代や地域の状況を想起し、設問の条件に沿った内容を抽出できれば決して難しいものではない。
  • 記述法:一部に難度の高い設問もみられるが、求められる事項や内容説明の大半は教科書レベルで、解答可能である。
  • 学習の手薄な分野が出題されると大きなダメージを受けることになる。問題が標準的であるとはいえ、300字の論述2題と短文論述を含む50問を超える記述法の問題を90分ですべて解答するのはやはり至難の業といえる。本番では、最初の30分程度で記述法の問題を完成させ、残りの時間でじっくり論述問題に取り組むような時間配分も重要となる。

対策

①副教材を併用した教科書の徹底学習。

  • 一部の例外を除いて、ほぼすべての問題が高校教科書の範囲内で出題されている。
    • ただし教科書の内容には多少のばらつきがあり、教科書によっては記述のないもの、説明のないものもある。
  • 慣れ親しんだ教科書+副教材を使った学習が最も合理的。
      • 『世界史用語集』(山川出版社)

    語句には①〜⑦の教科書掲載頻度数がそれぞれつけられているが、そのうちの①、②がついている頻度の低い語句が問われることもある。

      • 『詳説 世界史研究』(山川出版社)

②論述対策

(1)短文論述問題

  • 何が最も大切なことなのかを考えながら、いかに簡潔にまとめることができるかが重要。
  • 語句説明や事件・出来事の原因や背景などを問われることが多い。
    • 教科書の重要事項の前後を注意深く読み、その上で事項内容に不明確な点があれば用語集などで確認し、事項を簡潔にまとめる練習をする。

(2)長文論述問題

  • 〔1〕のアジア地域からの論述は、中国史を中心に、西アジアを核とするイスラーム世界からも出題されている。
    • 中国・イスラーム世界を主軸に、インド・東南アジアなどにも目を向けた学習が必要。
    • 中国史の場合は変革期からの問題、あるいはテーマ史になることが多い。
    • イスラーム関係ではヨーロッパ世界とのとの関係(紛争や文化交流)、イスラーム諸王朝の動向(宗教と政治の関係)、イスラーム世界の変質(民族運動や近代化)など。
  • 〔3〕の欧米地域からの論述は、アジア地域よりも比較的短い期間のテーマ史で
    • 前近代なら特定の時代の国家・政治・文化の動向と影響
    • 近現代なら国際関係史や各国・地域の状況比較を問うことが多い。

(3)京大の過去問で実際に書いてみる。

 ★手順としては…

  1. 問題文を注意深く読んで題意をとらえる。
  2. 指示されている条件をつかむ。
  3. そこから想起できる語句をメモ書きする。
  4. それを使用する順に並べ替える。
  5. 頭の中でだいたいの文章の構造がまとまってから書き始める。
    • 300字の論述1題に割ける時間は、約20〜25分程度。
    • 書きあがった文章は先生に添削してもらうか、友人と交換して意見を聞くなどして、もう一度書き直すようにする。

(4)論述の最大のポイント

  • 読みやすく文意が通じるか。
  • 題意や問題文の掲示に見合った内容になっているか。
  • 設問の条件に応えているか。
  • 必要な歴史事実が論理的・時系列的に正しく述べられているか。
  • 細かい事項をいろいろ書いていても、それが事実の羅列に終わっていないか。
  • 思い込みによる間違いがないか、教科書や副教材を参照してチェックする。

★他大学の過去問の解答例も読んでみよう

300字の論述となると、その字数だけで萎縮してしまいがちだが、まずは京大と同様の論述問題を出題している筑波大学・京都府立大学・早稲田大学法学部などの過去問を見て、答えを考えた上で、その解答例と解説を読んでみる。これにより論点抽出や文章作成の仕方がわかるはずである。

③ 過去問・他大学の問題演習

  • まずは過去問演習を通じて傾向をつかみ、知識を確認し深める事が第一。できるだけ多くの問題に取り組み、形式に慣れ、時間配分をシュミレーションしておく。

☞オススメ参考書『京大の世界史20カ年』(教学社)

  • 記述法の問題については、出題形式が似ている立命館大学の問題が効果的。
    • 誤った箇所の確認+その事項と関連する周辺の事項にも注意。

【地理】

傾向

基本知識を土台にして地理的論理・分析力を問う

論述問題は設問を丁寧に読み、出題意図の把握を

出題形式 大問5題(2019年度以降)
試験時間 90分
解答形式 選択・記述・論述・描図法からなる。論述問題は字数制限のない短文論述も含めて12〜19問出題されている。

出題内容

    • 最初に文章・統計・グラフの判定をしたあとに、さまざまな設問に記述法や論述法で解答するパターンが多い。
    • 文章・統計・グラフの判定は、高校地理の学習の成果を問う導入部分のような位置づけになっており、基本事項が十分に理解できていれば判定に迷うものは少ない。
      • ただし、都道府県名を判定➤地域的要因を問うたり、国名を判定➤当該国の産業の特色や各国の政策・問題等を説明させる問題では、最初の都道府県や国名の判断を誤ると後続の設問に影響を及ぼすので注意。
    • 論述はシンプルな形式が中心だが、さまざまな条件が指定される場合が多いので、設問文を丁寧に読み、何を説明すればよいのかをしっかりと把握する必要がある。
    • 例)
      • 「地図からわかることを」
      • 「本来の自然環境と土地利用の変化に着目して」
      • 「漁場付近の海域で発生する現象をふまえて」  など
    • 人口・都市・産業分野の出題率が非常に高く、世界地誌のような形でまとめられていても、各設問には人口・都市・産業・貿易などに関するものが含まれていることも多い。
    • 自然災害(2020年度)、情報と通信(2023年度)、観光・余暇活動(2018年度)など、また現代的課題を扱ったものが近年頻出している。
    • 新傾向の分野・現代的課題も出題される。
    • 例)
      • 「ラムサール条約」(2022年度)
      • 「エビ養殖と環境問題」(2021年度)
      • 「先進国と発展途上国間のデジタル・デバイドの問題」(2021年度)
      • 「北極海の海氷域の縮小に関する問題」(2020年度)    など

難易度

      • 標準~やや難。
      • 選択法や記述法で問われるのは教科書レベルの事項がほとんどであるが、論述法の問題では、出題意図を的確に理解しないと、20〜60字程度の字数でまとめることに苦労する。短文論述は要点を的確に表現する難しさがあるので、注意したい。記述・選択問題を早めに解いて、多数の論述問題を着々とこなしていく時間を確保したい。

対策

① 教科書レベルの基本事項は全分野確実に理解しておこう。

      • 学習の際に出てきた地名は、必ず地図帳でその位置を確認する習慣をつける。
      • 重要事項はその定義や要因を短文で説明できるようにトレーニングしておく。
      • 自然地理分野の扱いが増えてきているので、基本的な事項は確実に理解しておこう。
      •  例)
        • 「北西ヨーロッパの自然環境」(2023年度)
        • 「日本の火山と湖沼」(2022年度)
        • 「乾燥地域の自然と生活」(2021年度)  など
      • 地形図読図では、海岸地形や、河岸段丘、氾濫原の地形、カルスト地形の特徴など、各種小地形に関する深い理解が求められることが多い。
        • 地形の成因などは十分に学習し、自然環境を人間生活と関連づけて理解しておく。

②地形図読図を得意分野に

      • 教科書だけでなく資料集の地形図読図のページや地形図作業帳などを利用する。
      • 実際の読図作業(等高線の読み方、断面図作成・地図記号の識別・縮尺判定・距離計算など)を習熟しておく。
      • 各種地形(扇状地・三角州・河岸段丘・台地・氾濫原など)の成因を説明できるようにする。
      • 地形と人間生活の関係(土地利用・集落立地・集落起源など)を論理的に説明できるようにする。 

③統計データに強くなる…やや高度な資料活用力も問われる。

      • 学習の際にはこまめに統計書で具体的データを確認し、統計表を読むことに慣れる。
      • 統計の背後にある地理的事象を考える習慣を身につける。

        例)「なぜこれらの国が上位なのか」というように

        • 統計から地域、国や都市を相互に「比較」しながら地理的特色を判別する訓練をする。
        • 統計の背景にある「変化」の要因を考察する学習を意識する。
        • 統計書は最新版を利用しよう。
          • 『データブック オブ・ザ・ワールド』(二宮書店)
          • 『日本国勢図会』『世界国勢図会』(いずれも矢野恒太記念会)

④ 文章表現のトレーニングを

      • 地理用語をピックアップし、自分で説明文を書いてみる練習を積み重ねる。
      • 20〜60字程度の短めの論述が中心であり、設問文にさまざまな条件が指定されている場合が多い。
        • 設問文をよく読み、出題意図を把握して、キーワードを取りこぼすことなく、明確かつ簡潔な文章を書く練習を心がける。
      • 先生等に添削をしてもらう。

★現代社会の諸課題に関心をもとう

 日頃から新聞・テレビなどのニュースに慣れ親しみ、民族紛争や環境問題・人口問題・情報化社会・経済のグローバル化など、現代的課題について最新の知識を吸収するとともに、それらを地理的視点から理解する習慣を身につけておく。また、その解決の方向についても、自身に関わる問題として考える姿勢が望まれる。

☞オススメ参考書『現代用語の基礎知識』(自由国民社)

【国語(理系)】

傾向

現代文は高度な読解力と的確な表現力が必要

古文は口語訳と内容説明中心の設問

出題形式 3題(現代文2題、古文1題)

例年、〔1〕は文系と共通問題(設問は理系の方が1問少ない)

試験時間 90分
解答形式 全問記述・論述形式。字数制限は例年課されていない。

出題内容

◆現代文

      • 本文:出典は明治から現代にかけての作家、または評論家や各界研究者の文章で、評論や随筆、小説などが幅広く取り上げられている。
      • 内容は哲学、社会、文学論、科学論など多岐にわたっている。
      • 理系独自の問題である〔2〕は、〔1〕に比べて読み取りやすい平易な文章が出題されている。
      • 設問:傍線部に関する内容や理由を問う、国公立大学二次試験型の典型的な問題。小説の出題については、文学的文章の問題に典型的な、登場人物の心情表現を問う問題を中心に構成されている。

◆古文

      • 本文:2019年度以降は中古~近世文まで幅広く出題。文系とは別問題であり、比較的平易な文章からの出題が続いている。和歌を含む文章もよく出題されている。
      • 設問:かなりの割合を口語訳が占める。例えば、問一で「現代語訳せよ」、問二で「必要なことばを補って現代語訳せよ」などと、同じ大問の中で、設問文の表現を変えて出題されることもある。和歌の解釈もよく出題される。近年、内容要約や主旨型の説明問題もみられるようになった。

難易度

      • 現代文は難度の高い文章が出題されるので、抽象的な表現にも対処しうる読解力、表現力が要求される。古文は明快な文章で、文章全体の読解という点でいえば、さほど難しいわけではない。一般的な国公立大学二次試験型の国語問題と比較して、要求される解答の精度の高さを考えるとかなり難度が高い。
      • 解答が全問記述式なので、記述解答を練り上げる時間をできるだけ確保したい。まずは全問の問題文をひととおりながめて、自分の得意・不得意を踏まえて問題の難易を見極めることが重要である。

対策

①現代文:記述量が多いという点が最大の特徴!

      • 過去問にあたって実際に解いてみる。
        • 多くの設問箇所が本文の他の部分と対応しており、そこに解答のヒントや説明に利用できる表現があることに気づくであろう。
      • 小説も出題されているので、一般的な問題集などを活用して演習しておく必要がある。

②古文

      • 口語訳、解釈が中心なのでオーソドックスな勉強法が基本。
        • 文法や古文単語対策。共通テストやセンター試験の過去問がクリアできるレベル。
      • 「適宜ことばを補いながら」などという設問条件がつくことがある。
        • 主語や目的語などの省略内容の補足や、指示語の具体化などをする必要がある。

☞オススメ参考書『京大古典プレミアム』(教学社)

      • 古文特有の省略や慣用的な表現には、古典常識の学習も視野に入れつつ慣れておく必要がある。
        • 過去問研究を中心に心がけ、どのような口語訳の解答を作ればよいのか把握する。
      • 和歌の修辞、解釈は頻出。
        • 市販の参考書などにある和歌修辞の項目に目を通し、そこに引かれた例まで頭に入れておく。「百人一首」の解釈、修辞の理解が役に立つ。
      • 漢文も共通テストやセンター試験の過去問をクリアできるレベルの知識を蓄えておく。

③表現力・記述力

      • 何が問われているのかという設問意図を明確にくみ取った上で、無駄のない答案作りを心がけること。
      • 論理的なひとまとまりの文章を、5分の1から10分の1程度の長さにまとめてみる。
        • 結論をまとめるのではなく、もとの文章の展開を再構築して結論に至る、というように、論旨の展開を意識して行うと効果的。
      • 文学的な文章の抽象化と、古文の口語訳の練習
        • 添削指導を受けることが望ましい。
      • 過去問への取り組み
        • 最初は辞書を使い、時間をかけて、自分なりの最善の解答を作成してみる。
        • 時間配分の練習に、京大向けの模擬試験を受けてみて、カンを養う。

☞オススメ参考書 難関校過去問シリーズ『京大の現代文25カ年』『京大の古典25カ年』(教学社)

【国語(文系)】

傾向

現代文はわかりやすい説明が条件

古文は口語訳を中心に一部手ごわい内容説明も

出題形式 3題(現代文2題、古文1題)

例年、〔1〕は理系と共通問題(設問は文系の方が1問多い)

試験時間 120分
解答形式 全問記述・論述形式。字数制限は例年課されていない。

出題内容

◆現代文

      • 本文:出典は明治から現代にかけての作家、または評論家や各界研究者の文章で、評論や随筆、小説などが幅広く取り上げられている。
      • 内容は哲学、社会、文学論、科学論など多岐にわたっている。
      • 文系独自の問題である〔2〕では、2002年度までは明治の文豪や思想家の「文語文」の出題がされたが、近年は明確な文語文の出題はない。ただし、歴史的仮名遣いの文章や、現代文の中に文語文が引用される形で出題されることもある。
      • 設問:傍線部に関する内容や理由を問う、国公立大学二次試験型の典型的な問題。小説の出題については、文学的文章の問題に典型的な、登場人物の心情表現を問う問題を中心に構成されている。

◆古文

      • 本文:時代は中古〜近世にわたるが、中古文あるいは近世文からの出題が多い。文章量は、長文というほどではなく、長編物語一部を切り取って出題される場合は、比較的丁寧に前書きや注が付される。年度により、設問や問題文の一部に漢文が使われたこともある。
      • 設問:かなりの割合で口語訳問題が占める。例えば、問一で「現代語訳せよ」、問二で「適宜ことばを補いつつ現代語訳せよ」などと、同じ大問の中で、設問の表現を変えて出題されることもある。和歌の解釈もよく出題され、和歌重視の傾向は顕著。

難易度

      • 現代文は難度の高い文章が出題されるので、抽象的な表現にも対処しうる読解力、表現力が要求される。問題自体は標準的だといえるが、京大受験生の水準を考えた場合、解答の完成度の高さが要求される。
      • 古文は明快な文章で、文章全体の読解という点でいえば、さほど難しいわけではない。ただし、解答欄が要求するだけの記述・論述量という点に着目すると、文章読解におけるかなりの注意力や理解力、表現力などが総合的に問われている。
      • 一般的な国公立大学二次試験型の国語問題と比較して、要求される解答の精度の高さを考えるとかなり難度が高い。
      • 解答が全問記述式なので、記述解答を練り上げる時間をできるだけ確保したい。まずは全問の問題文をひととおりながめて、自分の得意・不得意を踏まえて問題の難易を見極めることが重要である。

傾向

①現代文:記述量が多いという点が最大の特徴!

      • 過去問にあたって実際に解いてみる。
        • 多くの設問箇所が本文の他の部分と対応しており、そこに解答のヒントや説明に利用できる表現があることに気づくであろう。
      • 小説も出題されているので、一般的な問題集などを活用して演習しておく必要がある。

②古文

      • 口語訳、解釈が中心なのでオーソドックスな勉強法が基本。
        • 文法や古文単語対策。共通テストやセンター試験の過去問がクリアできるレベル。
      • 「適宜ことばを補いながら」などという設問条件がつくことがある。
        • 主語や目的語などの省略内容の補足や、指示語の具体化などをする必要がある。

☞オススメ参考書『京大古典プレミアム』(教学社)

      • 古文特有の省略や慣用的な表現には、古典常識の学習も視野に入れつつ慣れておく必要がある。
        • 過去問研究を中心に心がけ、どのような口語訳の解答を作ればよいのか把握する。
      • 和歌の修辞、解釈は頻出。
        • 市販の参考書などにある和歌修辞の項目に目を通し、そこに引かれた例まで頭に入れておく。「百人一首」の解釈、修辞の理解が役に立つ。
      • 漢文も共通テストやセンター試験の過去問をクリアできるレベルの知識を蓄えておく。

③表現力・記述力

      • 何が問われているのかという設問意図を明確にくみ取った上で、無駄のない答案作りを心がけること。
      • 論理的なひとまとまりの文章を、5分の1から10分の1程度の長さにまとめてみる。
        • 結論をまとめるのではなく、もとの文章の展開を再構築して結論に至る、というように、論旨の展開を意識して行うと効果的。
      • 文学的な文章の抽象化と、古文の口語訳の練習
        • 添削指導を受けることが望ましい。
      • 過去問への取り組み
        • 最初は辞書を使い、時間をかけて、自分なりの最善の解答を作成してみる。
        • 時間配分の練習に、京大向けの模擬試験を受けてみて、カンを養う。

☞オススメ参考書 難関校過去問シリーズ『京大の現代文25カ年』『京大の古典25カ年』(教学社)

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