第1回 入試対策のスタートライン(後編)

第1回 入試対策のスタートライン(後編)

2021年 06月 02日

連載記事「共通テスト地理対策の圧倒的重要観点」、第1回後編です。

前編では、共通テスト地理で安定的に得点するためのポイントを紹介しました。それは、まず思考の土台となる知識理解を徹底的に追求することです。このポイントをふまえ、後編ではさらに具体的な勉強法や中・長期プランについて紹介します!


 

   

理由・背景や理論・仕組みを意識しよう!

繰り返し強調している通り、まずは思考の土台となる知識理解を積み重ねましょう。その際、一つずつのことがらの理由や背景、理論や仕組みを必ず意識してください。 言うまでもなく地理という科目の本質は、やみくもに山や川の名前を覚えたり、用語や統計を丸暗記したりすることなんかではありません。そもそもつながりのないことがらの機械的な丸暗記は非効率ですし、地理の勉強を面白く感じられないと思います。また、第2回以降で詳しく説明しますが、共通テストではセンター試験以上に「理論や仕組み」を重視した出題が頻出です。

例えばフィヨルドという地形を勉強する時には「フィヨルドとは何か」「それはどのように形成されるのか」を重点的にみていきます。そして「海に近い山地で氷河が発達することがカギだ」ということをつかめれば、それを起点として「条件を満たす環境・場所とは……」と思考をつなげていき、世界中のフィヨルドの分布を一網打尽に把握できるわけです。

▲世界の主なフィヨルドの分布

海からの偏西風の山脈風上でかつて氷河が発達した冷涼湿潤地(中高緯度の西岸)に多く分布している。

このように、ことがらの基本的な仕組みを理解し、それを演繹的に別の場面に応用していく(結びつけ、つなげていく)勉強を心がけてください。 その過程で「地理的に思考する」という言葉の意味もちょっとずつわかってくると思いますし、何よりそれぞれの学習事項のつながりがわかった時の嬉しさや楽しさ、面白さったら、ものすごいはずです!

もちろん、中にはある程度機械的に暗記するしかない、あるいは機械的に暗記した方が早い内容(地図上の国の位置や都市名,主要国の人口など)もあります。しかし、その場合でも必要最低限の範囲に絞るとともに、その国に関する他の事項と結びつけるなど暗記の仕方を自分なりに工夫してみましょう。

※「必要最低限」という線引きは地理に時間をかけ切れない受験生にとって特に重要ですが、個人差もあることから、残念ながらこのブログ中では書き切れません。普段の学校や塾・予備校などでの授業、あるいは良質な参考書などの中で自分なりにつかんでほしいと思います。

 

   

問題演習はまず単元ごとに!

授業を聞いたり、参考書を読んだりして「なるほど」と納得した段階と、実際に自分一人の力で問題が解けるという段階には、大きな隔たりがあります前編で強調した「説明文や図表の特徴を適切に読み取るとともに、確固たる知識理解と結びつけて解く」という力を高め、そうした隔たりをなくすためには、一定量の演習・経験の積み重ねが不可欠です。

演習のタイミングは、最初のうちは各単元(地形、気候、農業、鉱工業など)の基本的な勉強をしたすぐ後に行うのがベストです。「この単元で勉強した○○○という考え方はこういう問題でこうやって使うんだ」と、理解できた知識の応用の仕方までつかむことが重要なわけです。これがつかめてくると、後々同じ単元を復習する時にも、特に何をどういう見方で押さえていけばよいかがどんどん明確になっていきます。

 

   

「自然地理を制する者は入試地理を制す」

地理の学習は「系統地理」と「地誌」とに大きく分けられます。系統地理は、地形、気候、農業、鉱工業、人口、村落・都市のようにテーマ別に学ぶ地理です。地誌は、アジアの地形・アジアの気候・アジアの農業……、アフリカの地形・アフリカの気候・アフリカの農業……というように地域別に学ぶ地理です。また、地理の分野は「自然地理」(地形や気候など)と「人文地理」(農業や鉱工業など)に分けることもできます。

先生によって考え方や教え方に差はありますが、僕は系統地理を地理学習の基礎に据え、それを応用する形で地誌の学習をする方法が最適だと考えています。そして、系統地理の中でも、自然地理は根本にある最重要分野です。なぜなら農業でも鉱工業でも人口分布でも、人間の営みの背景には必ず自然地理があるからです前編で紹介した五大湖沿岸地域の工業展開も、背景には豊富な資源や地形を利用した水運がありましたよね。

したがって、安定的高得点に欠かせない地理の基本の知識理解として、早い時期に優先して取り組むべき単元は間違いなく「自然地理」です! 自然地理の基礎が理解できれば、人文地理分野の学習事項も一つ一つが結びつくようになり、学習効率が上がりますし、何よりも地理の勉強が楽しくなります!

また、自然地理は共通テスト・私大・国立大問わず必出の分野で、特にセンター試験・共通テストでは、必ず大問一つ分は「自然環境」について出題されています。そしてそれ以外に、一見して自然地理に関係なさそうでも、自然地理の内容からアプローチできる問題は一定数あります。年度により差はあるものの、センター試験・共通テストでは全問を通じて3分の1くらいは自然地理の知識理解から解答できます

このように自然地理はすべての地理学習、そして入試対策の土台中の土台、キングオブ土台です。ここは絶対に妥協せずに満点を目指すべきです! 自然地理の土台の上に農業、鉱工業、人口、村落・都市など他の系統地理の知識理解を積み重ねていき、その後の地誌の学習へとつなげていきましょう。

 

   

本番までのオススメ中・長期プラン

さて、第1回は「入試対策のスタートライン」として初歩的なことを書きました。でも実はこんなにも当たり前なことが、入試直前期になって改めてその重要性に気づくような核心的事実でもあります。第2回以降は問題へのアプローチの仕方をさらに詳しく、段階的に書いていくので、まずは上述したように一つずつのことがらの理由や背景、理論や仕組みを意識した自然地理(地形や気候)の勉強に取り組んでいけるととてもよいと思います!

最後に、今後の地理対策のオススメプランを提案します。これを参考にして先を見据えながら、地理対策の最高のスタートを切りましょう!!

  安定的高得点に向けた中・長期プラン  
  ■ 夏休み前まで:知識理解の充実  
  自然地理を中心に系統地理分野を勉強。  
  ・地形、気候など小単元ごとに問題演習を集中的にこなすと◎!  
  ※題材は共通テストとセンター試験の過去問が最良。予想問題集は後回し。  
     
  ■ 夏休み中:系統地理分野の復習  
  ・同時進行で地誌分野の勉強に取り組む。  
  ・自信がある人はこの時点でインプットからアウトプット(問題演習)主体の勉強に移行!  
 

・全大問を通した過去問演習もスタート。 

 
  ※本番までにこなす分量の目安は本試・追試5~10年分ずつ。  
     
  ■ 9月~冬休み前:問題演習主体に移行  
  ・地誌分野を含む全範囲の基礎学習を完了し、アウトプット(問題演習)主体の勉強へ移行。  
  ※問題演習のポイントは第2回以降で詳述。  
     
  ■ 冬休み~1月上旬:徹底的に「解く」  
  ・過去問演習をやり切った人は予想問題等で追加演習。 必ず時間を計り、時間配分を意識した実戦的な演習を繰り返す。  
     
  ■ 直前期:既習事項の最終確認  
  ・これまでの地理対策の全体を広く浅くでよいので見直す。「自分はこんなに勉強したんだ」という自信と「やり切った感」をもって本番に臨めることが重要!  
     

 

 

中土居 宏樹(なかどい・ひろき)

現在、河合塾では広島や大阪、京都など西日本各地の校舎に出講し、共通テスト対策から東大対策まで幅広く地理の授業を担当。全国模試や塾教材の作成にも関わる。趣味である入試問題研究や海外旅行の経験を存分にいかした熱く勢いのある授業が人気で、講習会では定員締切を出す。いかに生徒が地理を好きになってくれるか、そして本番で結果を出せるかを追求しながら、日々の授業を楽しんでいる。

 

 

前編はこちら

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