沖良志博に聞く 共通テスト直前期の英語勉強法!

沖良志博に聞く 共通テスト直前期の英語勉強法!

2020年 12月 02日

まもなく、「共通テスト」本番まで1カ月となります。はじめての試験で不安に思う受験生も多いのではないでしょうか。そんな皆さんの不安を解消すべく、試験直前期となった今、「いったい何をすべきなのか」を駿台の沖良志博先生に聞いてみました。

 

間違いの原因を追究することが、得点アップへの近道

―― Q1 試験まで1か月!?  今、何をすべきですか?

リーディング

 直前期は問題演習を通して、目標の点数に到達できるように訓練を重ねることが重要です。具体的には、「共通テスト赤本」(教学社)をはじめとする共通テストの形式に沿った問題を収録した問題集や、これまで受験した共通テスト型の模試を活用して、大問ごとに解答の手順を確認していきます。新しい問題に取り組むことができればそれがベストですが、少し前に受けた模試であれば(きっと正解を暗記しているわけではないので)もう一度解き直すことも十分役に立ちます。どちらの場合も、間違えた設問についてはなぜ正解に辿り着けなかったのかを徹底的に分析しましょう(→詳しくはQ2参照)。

センター過去問の活用法

初めて実施される共通テストでは、第2回試行調査(プレテスト)の形式にかなり近い問題が出題されることが予想されます。センターの過去問の「第4問B」「第6問」は形式的にも共通テストの「第1問B・第2問A」「第6問A」と類似しているので、赤本を使って近年の問題も数年分解いておくのが望ましいでしょう。

リスニング

 常に英語を聴いてリスニング力を鍛えるのと同時に、設問に解答することに特化した訓練を積むことが必要です。共通テストのリスニングは、2020年の7月下旬に「第3問も1回読み」になることが発表されました。1回読みの問題は、音声が流れるまでにどれだけの準備ができるかが勝負です。特に、試行調査で出題された新傾向の第5問(講義問題)には苦戦している受験生が多いと思います。この問題は、講義を聞いて図表(ワークシート)を作成することが目的です。そのためには、最初に与えられる問いを読む時間の中で、先に図表と設問文のチェック(=内容の先取り)を入念に行うことが重要です。内容を先取りしておけば、これからどんな情報に注目するべきなのかがわかります。チェックの際には、固有名詞、数字や単位、空欄部分の前後にある表現など、問題のポイントになりそうな部分をマーキングするとともに、日本語で具体的にメモを書き込んでおくと良いでしょう。

センター過去問の活用法

共通テストのリスニングは「第5問」を除けば、センターの問題と同形式の設問が多いことが予想されます。赤本を使って近年のセンターの過去問にも数多く取り組みましょう。

 

―― Q2 短期間でも効果が出る勉強法はありますか?

 受験勉強で成果を出すには、正解のポイントだけでなく「間違いの原因」を追究することが不可欠です。共通テストのリーディングでは、それほど複雑な構文や難解なテーマが出題されることはないはずなので、結局正解を選べなかった理由として最も多いのは「単語や表現の知識が足りなかった」ということだと思います。これに該当する場合は、どの単語や表現のせいで正解が選べなかったのかを、そのつど精査し、スマホのメモ帳に記録したり、単語帳に付箋を貼るなどして、簡単な「間違いリスト」を残しておきましょう。本番まで定期的にリストを見直し、確実に覚えたらクリアするということを繰り返せば、弱点を効率よく克服できると思います。

 

―― Q3 語彙力はある程度身に付けました。得点アップのために、他にできることはありますか?

1.「本文の言い換え」となる選択肢を探す

 リーディングにおいてもリスニングにおいても、共通テストの正解は「本文の言い換え」で作られています。 例えば、第2回試行調査(プレテスト)のリスニング第5問では、ロボットやAIが人間の仕事や役割を take over「引き継ぐ」、eliminate「取り除く」、take away「奪う」と読まれた部分を図表中のreplace「取って代わる」と対応させるという見事な言い換えが出題されています。反対に、本文に出てきた表現がそのまま使われている選択肢は、よく読むと誤った内容になっており、フェイクの選択肢である可能性が高いです。したがって、正解を考える際には本文に出てきた(っぽい)そのままの(ように見える)表現ではなく、本文の明確な「言い換え」を見つけ出すことを心掛けましょう。

 

2.「パラグラフメモ」を取って効率的に読む

 リーディングでは、「パラグラフメモ」を取ることを心掛けましょう。特に、第4問以降は本文が長くなるので、何度も読み直していると制限時間内に解答できないという事態に陥ります。読み返しを減らすために、段落ごとに最も大切だと思う内容を一言で具体的に書き残すことを習慣付けることが大切です。「パラグラフメモ」が簡単にかつ具体的に取れるようになってくると、本文と設問との照合が圧倒的に楽になります。ただし、これには共通テストの英文が大体読める程度の読解力をもっていることが前提になるので、まずは必要な語彙力(CEFR B1レベル以上)を身に付けてから練習しましょう。

 

3.第4問以降にできるだけ多くの時間を残す

 リーディングの試験時間は80分と、問題量の割には短いと感じる人が多いでしょう。最終的には、第3問までをいかに早く正確に解き、第4問以降により多くの時間を費やせるかが高得点のカギとなります。参考として、リーディングの時間配分の目安を以下に示します。

 

◆ 共通テスト リーディング 時間配分の目安※1

  本文語数※2 設問数 配点 目安 大枠
第1問 約350語 5問 10点 6分

40点

30分

第2問 約500語 10問 20点 14分
第3問 約500語 5問 10点 10分
第4問 約500語 5問 16点 12分

60点

50分

第5問 約550語 4問 20点 16分
第6問 約1050語 8問 24点 22分

※1 出題形式等は第2回試行調査と同様と仮定しています。

※2 本文のみの語数です。リード文や図表、設問は含みません。

 

受験生への応援メッセージ

 不安を覚えている受験生は多いと思いますが、予備校の講習会や共通テスト対策の問題集を活用して新傾向の問題形式に慣れてしまえば、きっと納得できる結果が出せるはずです。2020年は大学入試も社会情勢も激変する大変な年になりましたが、どうか本番まで身体のケアを忘れずに、そして当日は自分の力を最大限発揮できるようにがんばってください。あなたの成功を願っています。

 

 沖良志博(おき・よしひろ)

  • 駿台予備学校英語科講師。大阪大学大学院言語文化学修士。専攻は英語史と認知言語学。英語の比喩表現(メタファー)の研究で、日本英文学会での発表経験をもつ。
  • 現在、駿台の共通テスト教材の監修を務め、高卒生のための共通テスト対策授業に加えて、高校の先生に向けた共通テスト指導法の講座を担当している。今年の冬期講習では共通テスト対策の講座に専念し、本文の要点の取り方から設問を解く際の着眼点まで、受験生に共通テストの攻略法を伝授する。

 

関連書籍

978-4-325-23526-2

『共通テスト問題研究 英語』

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