赤本の教学社

受験川柳

第9回「受験川柳」の結果発表をいたします。
たくさんのご応募、誠にありがとうございました。
また、第10回も募集いたします。

第10回募集要項

第9回 受験川柳 結果発表 応募総数3,258句

最優秀賞

赤本に はさむ四つ葉の クローバー ごまさん(17歳)
作者のコメント

運気が上がるよう、四つ葉のクローバーのしおりを使っています。

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尾藤川柳先生 選評

藁をも掴むそんな受験時期には神さまも仏さまも、また受験勉強をともにした辞書や参考書も合格祈願の対象。志望校の赤本はなおさら。偶然見つけた「四つ葉」のクローバーは、きっと受験に幸運をもたらしてくれそう。そんな小さな希望もまた、この時期の心の支えに。等身大の真理が、見事に言語化されたいい句。こんな句が出来るごまさん、きっと目標を達成することだろう。

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高校生特別賞

赤シート 見える世界は 無限大 ゆうちゃん(17歳)
作者のコメント

赤シートは受験生に欠かせないもので暗記する時に字を隠すために使うものですが、挫折しそうになった時、ふと赤シートを空にかざしたら、第一志望に合格している未来が透けて見えた気がしました。

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尾藤川柳先生 選評

暗記用の赤いシートは、受験生のアイテム。効率的に暗記するにはとっても便利だが、単に単語や意味、年号などを覚えるだけでなく、その先に透けて見えてくるのは、受験という試練を乗り越えた作者の未来。正に「無限大」の可能性をもった世界だろう。受験という一時期の嵐の後に広がる世界の大きさ、期待感が伝わる。

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中学生特別賞

赤本と わかれる時は 新世界 @*S3110(13歳)
作者のコメント

受かってからの学校は今からしたら新世界で,赤本はもう使わないから。

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尾藤川柳先生 選評

赤本を友として努力した時間は、やがて大きな花を咲かすのだろう。ある意味、受験という縛られた時間を過ごす赤本との別れが、作者にとって新世界への第一歩となるよう。それを知ったうえで赤本と取り組む作者の覚悟と姿勢が十七音から見えてくる。

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優秀賞

  • このレ点 人生変える 分岐点 山法師

    漢文を学んでいると出てくる「レ点」が、人生を変える分岐点と感じた作者。前に戻って読ませる小さな記号を取り違えてしまうと、試験の得点にも影響して、まさかの浪人という人生のレ点に…。微視的な事象から人生を見た視点が面白い。

  • かじりつく 寒さを背負い 春を塗る 風を感じたピクルス(17歳)

    勉強部屋が寒いという環境の寒さばかりでなく、受験の冬という心の凍えを背負っての一時期。これを乗り越えたところに、真の春の温かさが…。「春を塗る」という下五が、作者の覚悟のように広がってくる。

  • 受験でも ダンスは続け 二刀流 みっちゃん(16歳)

    すべてを受験に傾注することの多い受験時期だが、こういった生き方も大切な姿。二刀流の大谷選手にあやかって、どっちも貫徹しようという心意気がいい。みっちゃんの二つの道のどちらも成功することを願うばかり。

  • 難問に ぶつかるたびに 進化する ユースタスリンリン(17歳)

    難問を難しいもの、自分には解けないものと逃げ出してしまう人もあるかもしれないが、あえて難問を解くことを楽しみに。こんな前向きな姿勢なら、受験勉強も苦にならないかも。進化、成長していく作者が目に浮かびそう。

  • この焦り 加速度aを 求めなさい すずか(18歳)

    物理学の加速度なら、公式から導けそうだが、受験という力を受けての作者の加速度は、いかばかり。受験の「その日」がどんどん近づいて来る気配が、18歳の心を悩ましているよう。「その日」の後は、真の自由の加速度を感じることだろう。

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尾藤川柳先生 総評

第9回の「受験川柳」は、現役の若い作者の心理が句によく現れていたように見えた。半面、記憶の中の受験や頭の中で受験を句にした現役ではない世代の作品は、やや例年と似た内容で、新しさに欠けるものも多かったかもしれない。最終的に選ばれた句を拝見して、さらにそれを感じた。やはり川柳は人間が現れる文芸で、細やかな心理が余韻として句から漂ってくるものがいい句と感じられる。

受験勉強の最中、川柳を作ることは、無駄なエネルギーと時間を費やしてしまったと思う人もいるかもしれないが、川柳を通して自身の気持ちが再認識され、コトバにすることによって、カタルシスにもなったのではないだろうか。

応募された皆様へ感謝申し上げるとともに、合格の栄冠を勝ち取られるよう心よりお祈り申し上げる。

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尾藤川柳先生

尾藤川柳先生 プロフィール

1960年東京生まれ。女子美術大学特別招聘教授。川柳公論社主宰。祖父・三笠、父・三柳とつづく川柳家。2017年、十六代目川柳を嗣号。川柳作家としてだけでなく、「川柳学」の研究者としても活動、川柳記念館創設の運動を始めた。川柳史料の散逸を防ぎ、収集・整理・保存・研究・公開を目的とした〈朱雀洞文庫〉主宰。著述および各地での川柳講座、講演、川柳展、川柳記念館設立の運動等で川柳の文化普及活動を行う。

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過去の受賞作品

第8回(2023年発表 応募総数2,992句)
最優秀賞
一浪を 「ひとなみ」と読む 母が好き (ヘミング麻衣ウエイ)
高校生特別賞
変わりたい そのきっかけに 赤本を (りんごあめ)
中学生特別賞
おかえりと 塾に言われる 長い夏 (Miriam)
優秀賞
クラス写真 ピースに混じり フレミング (ミンミンゼミ)
受験生 ウサギとなって かけ抜ける (ラーメンボーイ)
スマホ手に 赤本めくる 二刀流 (つきの)
かじかむ手 カイロ代わりの 単語帳 (りり)
過去問で タイムスリップ 未来まで (ありがとうさぎ)
赤本が 示す2人の さようなら (あいぷー)
レジに出す 第一志望は 胸を張り (らくちゃん)
第7回(2022年発表 応募総数3,692句)
高校生特別賞
赤本が 恋人だった 午前2時 (みみずく)
中学生特別賞
制服は テストの日だけ 勝負服 (さいしょくけんび)
優秀賞
難問に 心拍数が 爆上がり (黒ペン)
赤本を 勝負マスクで 解いていく (たまのいわし)
「頑張れ」の LINEをスクショ お守りに (おちび。)
マスク跡 写真に残る 受験票 (かばくんのかば)
赤本を 手に取る私 賢そう? (綾)
第6回(2021年発表 応募総数4,919句)
最優秀賞
制靴が 靴箱にある 3か月 (ウェーブ)
高校生特別賞
合格の バトンつなげる 体験記 (愛)
中学生特別賞
受験生 何をやっても 受験生 (山口)
優秀賞
オンライン 心の距離も ディスタンス (匿名希望)
コロナ禍に 知った受験の できる幸 (ちゅんすけ)
ページ端 兄の足跡 踏み越えて (玉砕丸)
赤本と 一緒に過ごす 夏休み (Momomitsu)
問題が 見直すたびに 七変化 (しんちゃん)
第5回(2020年発表 応募総数3,084句)
最優秀賞
志望校 優しい嘘を 知った春 (岩間さやか)
高校生特別賞
三学期 歩幅狭めて 帰る道 (ask)
中学生特別賞
赤本に ふせんの草が 育つ夏 (みゆみゆ)
佳作
赤本が 少し膨らみ 春が来る (ちゅんすけ)
合格しても一人 (一人はいやだ)
無駄のない ペンと足音 自習室 (をたちぃ)
夢の中 解けた数式 もう一度 (受験師匠)
第4回(2019年発表 応募総数2,162句)
最優秀賞
いつもより 解ける気がする 勝負ペン (明日やろうは馬鹿野郎)
高校生特別賞
参考書 蛍光色の 虹かかる (キプフェル大好き)
佳作
インスタで 推薦組が 弾けてた (ふたま)
絵馬の字も 風格のある 二浪生 (安田蝸牛)
うたた寝に 喝か毛布か 迷う母 (凛香)
ベクトルが 頭に刺さる 夢を見た (なべともあき)
教師より アプリに聞いた この進路 (らんす)
第3回(2018年発表 応募総数2,358句)
優秀賞
髪の毛と 勉強時間 のびていく (た)
高校生特別賞
E判定 逆転サヨナラ 下剋上 (ミニハルク)
佳作
がんばった 証の赤本 今もある (マイコ)
コンビニが 塾と我が家の 中継地 (さごじょう)
英単語 トイレで先に 父覚え (ねこねこぱんだ)
「君の名は」 あると信じる 掲示板 (ロックンビート777)
紅白の 合間に開く 単語帳 (moguchimo)
第2回(2017年発表 応募総数3,432句)
優秀賞
鉛筆も わたしも尖る 受験の日 (清水ゆん)
高校生特別賞
夢のなか 点Pずっと 動いてる (つぐちゃん)
佳作
今やると 言いつつ手には タブレット (匿名希望)
「冬休み」 受験生には ただの「冬」 (マリン)
赤本の 売り切れで知る 敵の数 (ししゃも)
古文にも 母の話も 主語がない (さごじょう)
おおみそか カウントダウンが にくらしい (A.S.)
第1回(2015年発表 応募総数2,303句)
優秀賞
人生を 決める小さな 選択肢 (とんがりトマト)
高校生特別賞
睡眠と 勉強息抜き 三角比 (匿名希望)
佳作
オリオン座 明日も勉強 頑張ろう (ひかり)
それとなく 聞き出す彼の 志望校 (あいあい)
アイドルの 曲で覚える 周期表 (ヤンヤン)
早起きは 三問のトク 受験生 (にゅうめん。)
赤本の 表紙隠して 持ち歩く (2009年九大受験生)
赤本を 枕にちょっと 一休み (だいちゃんZ!)
ちょっと待て Aはこんなに 続くのか? (あずき)
第10回募集要項