2021年度 総合型選抜・学校推薦型選抜はどうなる?

2021年度 総合型選抜・学校推薦型選抜はどうなる?

2020年 10月 30日

 2021年度入試(2021年度に入学する人のための入試)では、大学入試改革による入試制度の変更に加え、新型コロナウイルス感染症対策として各大学が実施内容の変更を発表しています。つまり、変更点が多くて複雑です。とくにコロナ対策の変更点は、追いきれていない人もいるのではないでしょうか。今回は、一般選抜より早くはじまる総合型選抜と学校推薦型選抜について、どのような変更があるのかみていきます。

 

名称の変更  

 2021年度入試より、これまでのAO入試が「総合型選抜」に、推薦入試が「学校推薦型選抜」という名称になります。ちなみに、学力試験がメインの一般入試も、「一般選抜」に変わります。

変更前
AO入試
 
変更後
総合型選抜
内容
書類審査と面接等で、受験生の能力・適性や学習に対する意欲、目的意識等を総合的に評価・判定する入試方法。公募制が基本。

 

変更前

推薦入試

 
変更後
学校推薦型選抜
内容
学校長の推薦を得て志願する入試。公募型推薦と指定校推薦に大別できる。
 公募制推薦…出願にあたって学習成績などの条件はあるものの、どの高校出身でも出願可能 
 指定校推薦…大学が定めた高校の生徒のみが出願できる入試で、主に私立大学で実施されている

 これらは文部科学省の定める入試制度上の区分名なので、実際の入試名は大学によって違うこともありますが、「総合型選抜」と記されていたら、これまでのAO入試だな、ということがわかります。

 

 出願時期に変化  

 総合型選抜は、出願時期が変更されます。

8月1日以降
9月15日以降

 もともとは9月1日以降という変更でしたが、新型コロナウイルス感染症の流行により高校が休校となったため、さらに遅らせて9月15日以降となりました。なお、学校推薦型選抜は、11月1日以降で例年と変わりません。

 これは、早い時期に受験がはじまり早くに合格してしまうことによって、高校での学習意欲を削いでしまうことにならないように変更されたものです。大学がこれより前に入試をはじめないようにするものなので、もっと遅くに出願を開始している大学もたくさんあります。大学ごとの出願日を知りたい場合は、ウェブサイトや選抜要項で確認しましょう。

 

選抜方法に変化  

 総合型選抜・学校推薦型選抜のいずれにおいても、文部科学省の定める「大学入学者選抜実施要項」で、下記の評価方法のうち少なくともいずれか一つを必ず活用することとされました。   

小論文等、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、 資格・検定試験の成績、大学入学共通テスト

 また、かつてAO入試は「知識・技能の修得状況に過度に重点を置いた選抜基準としない」とされていましたが、その表記はなくなりました。 同じく推薦入試の「原則として学力検査を免除し」という表記も削除されました。 つまり、以前よりも学力を計ることを重視するようになった、ということになります。

 

提出書類に変化  

 総合型選抜は、入学志願者自らの意志で出願できる公募制という性格に鑑み 、入学志願者本人の記載する資料(「活動報告書」、「大学入学希望理由書」「学修計画書」等)を積極的に活用することになりました。

 学校推薦型選抜では、推薦書の内容が変わりました。推薦書は入学志願者が書く書類ではありませんが、ただ長所が記されるのではなく、学習歴や活動歴を踏まえた「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」に関する評価が記載されることをおさえておきましょう。また、大学が選抜にこれらを活用することも必須化されています。  

 ただし、今年は新型コロナウイルス感染症拡大により、部活動大会や資格・検定試験の中止、延期が相次いでいるため、これらの結果を記載できない点については配慮することになっています。

 

コロナ対応としての試験変更点

 総合型選抜と学校推薦型選抜は、一般選抜よりも科目試験が少なく、対面での試験が多い傾向にあるので、新型コロナウイルス感染症対策の影響を受けやすい入試です。2020年5月には、文部科学省がこれらについて「オンラインによる面接やプレゼンテーションなど、多様な選抜方法の工夫や配慮」を行うよう全国の大学などに要請をしました。2021年度の入試については、以下のような変更を発表している大学が増えています。

  • 面接のオンライン化
  • プレゼンテーションのオンライン化
  • 講義レポートのオンライン化
  • 科目試験や小論文が提出型に
  • 集団討論の中止

 

 変更点はすこしややこしいですが、総合型選抜も学校型選抜も、適性があれば長所を活かせる入試方式です。選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。総合型選抜・学校推薦型選抜で重要な面接試験の注意点は、今後のブログで詳しく紹介する予定です。

 

参考になるウェブサイト

・令和3年度大学入学者選抜実施要項(文部科学省)

・平成33年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告の改正について(文部科学省)

 

 

コラム「AO入試と推薦入試は、学力不問だった??」

 実はこれまでのAO入試と推薦入試でも学力試験が軽んじられてきたわけではありません。それまでの「大学入学者選抜実施要項」でも、このように記載があります。

 

 AO入試

 大学教育を受けるために必要な基礎学力の状況を把握するため、以下のいずれかを用いることが必要。

    • ア 各大学が実施する検査(筆記、実技、口頭試問等)の成績
    • イ 大学入試センター試験の成績
    • ウ 資格・検定試験等の成績
    • エ 高等学校の教科の評定平均値

 推薦入試

 推薦書・調査書だけでは、入学志願者の能力・意欲・適性等の判定が困難な場合には、AO入試のア~ウの措置の少なくとも一つを講ずることが望ましい。

 

 ところが、実際にはAO入試や推薦入試は「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力」 を問わない性格のものとして受け取られ、本来の趣旨・目的に沿ったものとなっていない面があると問題視され、今回の見直しにつながりました。

 

 

 

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