2025年版
大学赤本シリーズ

新課程Q&A

2025年度の入試は、新課程に基づいて行われる最初の入試となります。 ここでは、各大学の個別試験について、よくある疑問にお答えします (→共通テストについてはこちら)。

2025年度の入試は、新課程に基づいて行われる最初の入試となります。
ここでは、各大学の個別試験について、よくある疑問にお答えします (→共通テストについてはこちら)。

  • どこが変わる?

  • 「赤本」の
    使い方は?

  • どうやって
    対策すれば
    いいの?

このページの内容は2024年5月20日時点の情報に基づいています。

  • 各大学の個別試験への影響は限定的!
  • 2025年度は多くの大学で「経過措置」がとられる!
  • 各大学の入試科目をチェックして、赤本を活用しよう!

1.新課程入試で何が変わる?

各大学の個別試験への影響は
限定的です!

各大学の個別試験への影響は限定的です!

新課程では、学習指導要領の改訂により、科目の名称や編成に変更が見られますが、それぞれの教科において学習する内容は、それほど大きく変わっていません。

また、共通テストについては国公立大学で「情報」が原則必須になるなど大きな変更もありましたが、 各大学の個別試験においては受験科目が「実質的に変更なし」と言えるケースも多く見られます。

(例)受験科目が「実質的に変更なし」と言える例

旧課程

英語

コミュニケーション英語I・Ⅱ・Ⅲ
英語表現I・Ⅱ

コミュニケーション英語I・Ⅱ・Ⅲ
英語表現I・Ⅱ

国語

国語総合(古文・漢文を除く)、
現代文B

国語総合(古文・漢文を除く)、
現代文B

選択科目

「日本史B」、
「世界史B」、
「数学I・Ⅱ・A」

「日本史B」、「世界史B」、
「数学I・Ⅱ・A」

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科目名は異なるが
実質的に変化なし

新課程

英語

英語コミュニケーションI・Ⅱ・Ⅲ
論理・表現I・Ⅱ・Ⅲ

英語コミュニケーションI・Ⅱ・Ⅲ
論理・表現I・Ⅱ・Ⅲ

国語

現代の国語、
言語文化(古文・漢文を除く)

現代の国語、言語文化(古文・
漢文を除く)

選択科目

「日本史探究」、
「世界史探究」、
「数学I・Ⅱ・A」

「日本史探究」、「世界史探究」、
「数学I・Ⅱ・A」

さらに、多くの大学では、出題にあたって旧課程履修者への「経過措置」(→Q.2参照)がとられることがアナウンスされています。

以上のことから、全体的に見れば、各大学の個別試験への影響は限定的だと言えるでしょう。ただし、大学によって扱いが異なりますので、 受験科目や出題範囲については必ず各大学の公式情報で確認するようにしてください。

2.「経過措置」って何?

既卒生(旧課程履修者)が不利にならないための措置です!

2025年度入試の実施にあたっては、文部科学省からの通知にもとづき、多くの大学において、 旧課程履修者が不利にならないための「経過措置」がアナウンスされています。

「経過措置」の例

  1. ①新教育課程による出題科目とこれに対応する旧教育課程の科目との共通の内容を出題する。
  2. ②共通する範囲のみで出題することが困難と判断される場合には、必要に応じ旧教育課程の科目の範囲から出題する問題を別途用意し、選択解答できるようにする。

個別試験については、①の対応をとる大学が多いようです。こうした「経過措置」がとられる場合、「課程の変わり目」が出題に及ぼす影響は、 より小さくなると予想されます。赤本を活用する観点で言えば、旧課程履修者が不利にならない出題がなされるということは、「過去問を研究する意味は、従来と同じくらいある」と考えてよいでしょう。

3.教科ごとの注意点は?

ポイントは以下の通りです!

英語・国語

科目名は変更されていますが、教科としての特性上、「実質的には大きな変更なし」と考えられる場合がほとんどです。 ただし、「リスニング」や「古文」「漢文」の有無といった扱いに変更がないかどうかは確認しておきましょう。

地歴

新設の「歴史総合」「地理総合」が出題科目に含まれている大学も見られます。

(例)

「日本史B」 → 「歴史総合、日本史探究」
「世界史B」 → 「歴史総合、世界史探究」
「地 理B」 → 「地理総合、地理探究」

しかし、こうしたパターンでも、2025年度に関しては「経過措置」により「旧課程履修者にも配慮した出題を行う」等のアナウンスがされていて、 「実質的には大きな変更なし」と考えられる場合がほとんどです。

公民

「現代社会」が廃止されて「公共」が新設されています。新課程の「公共」は実質的には旧課程の「現代社会」と大きく変わりません。 ただし、大学によっては「政治・経済」→「公共、政治・経済」という変更も見られますので、出題科目の変更には十分注意してください。出題範囲が増える部分があれば、問題集などで対策を講じておきましょう。

数学

「数学活用」が廃止されて「数学C」が新設されました。しかし、以下に示すように、「数学」全体としての内容は大きく変わりません。

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主な変更内容

  1. 「ベクトル」が「数学B」→「数学C」に移動した。
  2. 「平面上の曲線と複素数平面」が「数学」→「数学C」に移動した。
  3. ③「数学A」の「整数の性質」は「数学と人間の活動」などに移行された。
  4. ④「数学活用」の内容は「数学A」「数学B」「数学C」へ移行された。

以下に、新旧の出題範囲を見比べるときのポイントを示します。大学の募集要項などで確認する際には、新旧の科目名を混同しないように注意しましょう。

旧課程の出題科目が「数学Ⅰ・Ⅱ・A」までの場合

文系学部に多いパターンです。この場合は、新課程においても、出題科目の表記は旧課程と同じであることがほとんどです。

なお、「数学A」については、「数学と人間の活動を除く」としているものや、「図形の性質、場合の数と確率」だけに限定しているものも見られますが、いずれも出題のうえでの影響は少ないと考えられます。

旧課程の出題科目が「数学Ⅰ・Ⅱ・A・B(数列、ベクトル)」の場合

文系学部に多いパターンです。新課程における出題科目の表記は、以下①~④のようになっている場合が多く見られます。

  1. ①「数学Ⅰ・Ⅱ・A・B(数列)・C(ベクトル)」
  2. ②「数学Ⅰ・Ⅱ・A(図形の性質,場合の数と確率)・B(数列)・C(ベクトル)」

①・②の場合、実質的な出題範囲は変わりません。

  1. ③「数学Ⅰ・Ⅱ・A・B(数列、統計的な推測)・C(ベクトル)」
  2. ④「数学Ⅰ・Ⅱ・A(図形の性質,場合の数と確率)・B(数列、統計的な推測)・C(ベクトル)」

③・④の場合:「統計的な推測」が新たに含まれることになります。

旧課程の出題科目が「数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数列、ベクトル)」の場合

理系学部に多いパターンです。新課程における出題科目の表記は、以下①~④のようになっている場合が多く見られます。

  1. ①「数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数列)・C(ベクトル,平面上の曲線と複素数平面)」
  2. ②「数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A(図形の性質,場合の数と確率)・B(数列)・C(ベクトル,平面上の曲線と複素数平面)」

①・②の場合、実質的な出題範囲は変わりません。

  1. ③「数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数列、統計的な推測)・C(ベクトル,平面上の曲線と複素数平面)」
  2. ④「数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A(図形の性質,場合の数と確率)・B(数列、統計的な推測)・C(ベクトル,平面上の曲線と複素数平面)」

③・④の場合:「統計的な推測」が新たに含まれることになります。

理科

一部に用語の変更などはあるものの、科目名にも学習内容にも大きな変更はありません。

情報

個別試験において「情報」を課す大学は、ごくわずかにとどまっています。

4.個別試験の対策のポイントは?

過去問(赤本)をフル活用しよう!

ここまでに見てきたように、各大学の個別試験については、新課程になっても「実質的に変更なし」と考えてよい場合が多くあります。 以下のステップで、過去問をフル活用して、志望校への対策を進めていきましょう。

① 自分がめざす大学の試験科目をチェックする!

まずは、大学の公式情報(入試要項やウェブサイト)などで、自分が受ける試験で必要な科目および出題範囲を確認しましょう。

② 出題範囲を確認したうえで過去問に取り組む!

そのうえで、新旧の「試験科目・出題範囲」を比較してみましょう。

過去の出題範囲については、赤本では各年度の冒頭にある「試験科目・配点」のコーナーで確認できます。 また、編集時に判明している変更点については、各科目の「傾向と対策」でも紹介しています。

以上を確認したうえで、過去問に挑戦していきましょう。その大学に特有の「出題の特徴」をつかむことが、合格への近道だと言えます。

③ 過去問ではカバーできない部分があれば、別途問題集などで対策する!

なお、以下のような場合には、①②に加えて、追加の対策を講じる必要があります。

  1. 2025年度から新しい試験科目が導入される。
  2. 2024年度と比べて出題範囲が増える。

市販の問題集などを活用して、「過去問+α」の準備をしておきましょう。


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