赤本 赤本入門 受験勉強に必要不可欠なアイテムと言われる赤本。あなたは赤本のことをどのくらい知っていますか?

そもそも赤本って何?

赤本とは、大学入試の過去問題集のことです。正式には「大学入試シリーズ」と言います。目印であるその赤い表紙から、「赤本」の名で長年にわたり多くの受験生に親しまれてきました。

Point1 大学によってさまざまな入試問題
大学入試では、アドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)や教育内容に合った学生を選考するため、大学や学部ごとに独自の入試問題が出題されています。志望校合格には、この独自の入試問題の攻略が大きなカギになります。
Point2 赤本は全都道府県の大学をカバー
赤本は、北海道から沖縄まで、全都道府県の国公立大学・私立大学をカバー。2014年現在、大学数は375大学、刊行点数は500点以上にのぼります。

なぜ受験に赤本が必要なの?

大学によって異なる入試問題。出題形式や内容には傾向やパターンがあります。こうした傾向を知らなければ、本番で慌ててしまうばかりでなく、効果的な対策が立てられません。そこで役立つのが、過去問の代名詞である赤本なのです。

Point1 過去問演習で傾向をつかむ
志望校の傾向をつかむ一番の方法は、実際の過去問にあたることです。解答方法や問題のレベル、ねらわれやすい分野など、問題を解いてみて、自分の肌で感じてみましょう。
さらに、赤本には「傾向と対策」といって、受験指導のプロによる詳しい傾向分析とおすすめの対策法が掲載されているので、必ず目を通しましょう。
Point2 受験勉強の指針にする
過去問を解くことで、今の自分に足りない力や苦手な分野などが見えてくるはずです。本番で合格点をとるためには、こうしたウィークポイントをつぶしていくのが最も効率のよい方法です。したがって、過去問を入試直前に解くよりは、早いうちから過去問に触れ、受験勉強の指針にする方が、得策だと言えます。
Point3 モチベーションUPに利用する
赤本の冒頭にもぜひ注目を。大学の情報や、大学に合格した先輩からの貴重な「合格体験記」が載っています。また、志望校の赤本をカバンに入れて持ち歩いたり、自宅の学習机の上に置いておいたりすることで、目標とする大学の名前が常に自分の目に触れることになります。表紙の燃えるような赤い色とあいまって、勉強へのモチベーションを高めてくれるでしょう。

赤本はどうやって使えばいいの?

志望校に合格した先輩たちは、どんなふうに赤本を使っていたのでしょうか。過去問演習のコツ、対策の仕方など、経験からくる貴重なアドバイスを紹介します。

  • 心構えが大事 過去問を解くときは、大学が受験生に何を求めているのかを常に考えること。間違えたときは、どうしたら答えにたどり着けたのかを必ず考えること。これが合格への最短ルートだと思う。Kさん/2010年度 慶應義塾大学合格
  • やり方を変えて何度も解く 1回目は1年分を通して解く。答え合わせをしたら、解説を読んでしっかり理解する。2回目からは大問ごとに時間を計って解く。スラスラ解けた問題に○をつけ、○が3つになるまで繰り返す。1週間後に短い時間で通して解く。Hさん/2011年度 東京大学合格
  • 本番よりも短い時間で解いてみる 本番は緊張したり焦ったりして、思うように問題が解けないことがあります。赤本を解くときは、実際の試験時間よりも10分短い時間を設定していました。Iさん/2011年度 青山学院大学合格
  • 他学部の過去問も活用 私大では、学部によって出題形式や難度に差がない大学もある。数多く実戦にあたるために、受験する学部以外の過去問を解くのもよい。Kさん/2010年度 立教大学合格
  • 「赤本ノート」を作って苦手分野を克服 「赤本ノート」を作り、答え合わせの際に解説を熟読して知らなかったところをノートに書き込み、なぜ不正解になったのかも記していきます。ちょっとした時間に自分の書いたものを見直して苦手なものを減らしていき、入試前までに赤本の研究をしつくすことが重要だと思います。Aさん/2011年度 慶應義塾大学合格

※合格者の声は、2011・2012年版「大学入試シリーズ」にお寄せいただいた体験記の内容を編集して掲載しています。

番外編 赤本ができるまで

大学入試が本格的に始まる2月初めから、赤本編集部は一気に慌ただしくなります。各大学に入試問題の提供を依頼し、入手し次第、全国の高校や予備校の先生方に解答・解説の執筆をお願いします。同時に、問題に使用されている文章の著作権者を調査し、掲載の許可申請を進めていきます。

解答・解説の原稿が届いたら、解答は妥当かどうか、解説は読者にとってわかりやすいかどうか、編集部で厳密にチェックします。印刷所に原稿を出してほっとする間もなく、印刷所から校正刷りが出てきます。早く受験生の皆さんの手元に届けたい気持ちはやまやまですが、慎重に校正を重ね、ようやく印刷OKが出されます。

こうしてできあがった赤本が、5月頃から順次、書店の店頭に並んでいきます。赤本は、各大学のご担当者、執筆の先生方、著作権者の方などの協力のもと、たくさんの人の力を結集して作られているのです。