数学Ⅰ
「データの分析」が必修化
「集合と論理」が数学Aから移動
- 旧数学Bで選択履修項目だった「統計とコンピュータ」が,数学Ⅰで「データの分析」として必修化しました。必修化にともない,センター試験の「数学Ⅰ」「数学Ⅰ・数学A」では必答問題の出題も予想されます。各大学の個別試験にはなじみにくい分野ですが,出題範囲に含まれる場合は注意が必要です。
- 旧数学Aの「集合と論理」は,数学Ⅰの「数と式」の中で扱われるようになりました。
- その他,三次の乗法公式と因数分解が数学Ⅱの「いろいろな式」に移りました。
数学A
「整数の性質」が新設
2項目の選択履修だが,個別試験では全範囲出題も
- 「整数の性質」が新設され,約数と倍数,割り算の商と余り,不定方程式などが体系的に扱われるようになりました。ただし,従来も「整数問題」と呼ばれ,難関大学を中心に個別試験では応用的に出題されていました。
- 「場合の数と確率」では,従来は「確率分布」で扱われていた「条件付き確率」が移動してきました。逆に「期待値」は「確率分布」で扱われるようになっています(ただし,「期待値」は新課程の数学Aでも発展事項として取り上げている教科書もあります)。
- 他に「二項定理」も数学Ⅱの「いろいろな式」へ移動しています。
- 「図形と性質」は,従来の「平面図形」の内容に加えて,「空間図形」の内容が追加されています。
- 履修の上では,2単位の選択となったため,センター試験の「数学Ⅰ・数学A」では,3項目中2項目を選択解答させると発表されています。
- 一方,各大学の個別試験では,3項目すべてを出題範囲とするケースが見られます。その場合は全範囲の準備が必要です。もともと整数問題がよく出題されていた大学では,実質的には変わらないと考えてよいでしょう。
数学Ⅱ
大きな変更はない
- 旧課程の数学Ⅱから大きな変更はありません。
- 「いろいろな式」では,旧数学Aの二項定理と,旧数学Ⅰの三次の乗法公式・因数分解が移動してきています。
- 「微分・積分の考え」では,「微分は3次まで,積分は2次まで」という歯止め規定が緩和されました。従来から個別試験では次数制限に配慮しない出題も見られたので,さらに出題されやすくなりそうです。
数学B
個別試験では「数列」「ベクトル」指定が主流
- 「統計とコンピュータ」「数値計算とコンピュータ」がなくなり,代わりに旧数学Cから「確率分布と統計的な推測」が移動してきました。
- 旧課程と同様に2単位選択履修となっており,センター試験の「数学Ⅱ・数学B」では従来と同様に選択問題が出題されると発表されています。
- 各大学の個別試験では,旧課程と同様に「数列」と「ベクトル」を指定するケースがほとんどです。
数学Ⅲ
複素数平面が復活
- 数学Cが廃止され,「二次曲線」の分野が移動してきます。
- 数学Cにあった「行列」が削除され,1997~2005年度の入試で出題されていた「複素数平面」が復活しました。
- 教科書では「発展」として扱われていた「曲線の長さ」が,正式に扱われるようになりました。
センター試験
数学Ⅰ・数学A
「数学A」の各項目が選択解答に
「データの分析」の出題が見込まれる
- 「数学A」の「場合の数と確率」「整数の性質」「図形と性質」の3項目のうち,2項目の選択解答となることが発表されています。
- 「整数の性質」については,センター試験で出題されるのは初めてで,対応する過去問がありません。選択する場合は注意が必要です。
- 「データの分析」は必修化にともない,必答問題の出題も予想されます。旧課程「数学Ⅱ・数学B」の選択問題に統計の出題があるので,参考にできます。
- なお,「整数の性質」と「データの分析」については,大学入試センターから問題例(試作問題)が公表されています。
数学Ⅱ・数学B
選択問題以外は従来と同様の見込み
- 「数学B」の「数列」「ベクトル」「確率分布と統計的な推測」の3項目のうち,2項目の選択解答となることが発表されています。
- 従来から「数列」「ベクトル」での受験者が多かったため,大きな影響はないと思われますが,「確率分布と統計的な推測」を選択する場合は,1997~2005年度「数学Ⅱ・数学B」の確率分布の問題が一部参考になります。
- なお,「確率分布と統計的な推測」については,大学入試センターから問題例(試作問題)が公表されています。
各項目の詳しい分析と対策については,センター赤本「数学Ⅰ・A/Ⅱ・B」をご覧ください。
個別試験の出題範囲の主なパターン
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①旧「数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数列,ベクトル)・C(行列とその応用,式と曲線)」→新「数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B(数列,ベクトル)」
主に難関大学の理系数学で見られる設定です。全体としては,「行列」がなくなり「複素数平面」が追加されるのが主な変更です。経過措置が取られる場合は,新旧固有の範囲が選択問題になったり,どちらも出題されないケースも考えられます。
削除される主な項目 行列 追加される主な項目 複素数平面,データの分析,整数の性質 -
②旧「数学Ⅰ・Ⅱ・A・B(数列,ベクトル)」→新「数学Ⅰ・Ⅱ・A・B(数列,ベクトル)」
主に難関大学の文系数学で見られる設定です。「整数の性質」や「データの分析」の扱いが注目されますが,全体としては変更が少ないと見てよいでしょう。
削除される主な項目 特になし 追加される主な項目 データの分析,整数の性質 (注)これ以外にも,大学によって様々な出題範囲が見られるので,各大学の募集要項をよく確認してください。