生物基礎
「生物Ⅰ」の大部分が「生物」に移動
生態など追加された項目も
- 細胞の分野は,「生物Ⅰ」では細胞の構造を中心とした内容でしたが,「生物基礎」では光合成など代謝の概要までを扱う内容となりました。従来は細胞が「生物Ⅰ」,代謝が「生物Ⅱ」となっていましたが,新課程では,両分野を「生物基礎」で簡単に,「生物」で詳しく扱うようになっています。
- 遺伝の分野は,「生物Ⅰ」では遺伝の法則を中心とした内容でしたが,遺伝情報とDNAの概要を扱う内容となりました。「生物Ⅱ」から遺伝情報の発現や分配が移ってきて,遺伝の法則は中学校に移動し,「生殖と発生」の全般は「生物」に移動しました。
- 動物の反応のうち刺激の受容と反応と,植物の反応の大部分が「生物」に移動し,「生物基礎」には,体液と恒常性,神経系とホルモン,免疫といった「体内環境の維持」のみが残りました。免疫は「生物Ⅱ」の「タンパク質と生物体」で深く扱われていましたが,「生物基礎」で扱われるようになりました。
- 植生や生態系の保全が「生物Ⅱ」から移ってきて,生態分野は「生物基礎」と「生物」にまたがって扱われるようになりました。なお,「生物Ⅰ」の植物の反応のうち,光合成速度については新課程では植生で扱われています。
生物
生殖と発生,環境応答などが「生物Ⅰ」から移動
生態,進化・系統が必修化
- 生殖と発生,生物の環境応答などが「生物Ⅰ」から移ってきました。
- 従来は選択履修だった,生態と進化・系統の分野が必修化されています。
- 細胞・代謝,遺伝情報,生態の各分野は「生物基礎」と「生物」にまたがって扱われています。
センター試験
生物基礎
分量は軽減するが新規項目が出題
- 「生物基礎」としては30分相当の出題となり,旧課程の「生物Ⅰ」から分量的には軽減しますが,半分近い項目が新規項目となります。
- 形式や難度は大きく変わらないと予想されます。
- センター赤本では,生物基礎に該当する問題にのマークを付けています。生態分野などの新規項目も,2005年度以前や1996年度以前の課程では出題されていることがあります。
生物
出題内容は増加
選択問題が出題される見込み
- 「生物」も「生物Ⅰ」から移ってくるのは,生殖と発生や環境応答などの分野のみなので,大多数が新規項目となります。
- 出題範囲が大幅に増えますが,一部に選択問題を配置すると発表されています。
- 旧課程では,遺伝情報や生態の過去問が少ないですが,2005年度以前や1996年度以前の課程で出題されていることがあるので,センター赤本に収載しているそれらの過去問も参考になります。
- 進化・系統については,これまでのセンター試験で出題されたことがないので,問題集などで補強する必要があります。
各項目の詳しい分析と対策については,センター赤本「生物(生物基礎・生物対策用)」をご覧ください。
個別試験の出題範囲の主なパターン
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①旧「生物Ⅰ・生物Ⅱ」→新「生物基礎・生物」
旧課程では,生態と進化・系統が「生物Ⅱ」の選択履修範囲でしたが,特に指定せずにいずれも出題範囲にする大学がありました。この場合は新課程と変わりません。なお,出題範囲に入っていても両分野をほとんど出題しない大学もありましたので,過去問で各大学の頻出項目を把握しましょう。
削除される主な項目 特になし 追加される主な項目 特になし -
②旧「生物Ⅰ」→新「生物基礎・生物」
一部の大学で「生物Ⅰ」から「生物基礎・生物」に範囲を広げるケースが見られます。細胞,遺伝,生殖・発生,動物の反応,植物の反応の5項目からバランスよく出題するケースが多く見られましたが,これらの項目に加えて,代謝,遺伝情報などの分野を対策しておく必要があります。生態と進化・系統も要注意ですが,まずは頻出項目を固めましょう。
削除される主な項目 特になし 追加される主な項目 代謝,遺伝情報,生態,進化・系統 -
③旧「生物Ⅰ」→新「生物基礎」
私立大学の家政系や看護系学部で「生物基礎」のみを出題範囲にするケースが見られます。また,「Ⅰ」から1科目選択だったのを,「基礎」から2科目選択に変更するケースも見られます。この場合は生殖と発生,遺伝,刺激の受容と反応,植物の反応の大部分が範囲外になり,逆に代謝や遺伝情報の一部,植生や生態系の保全が範囲に入ってきます。細胞や体内環境の分野,植生のうち光合成速度などは過去問がありますが,その他の分野は問題集などで補う必要があります。
削除される主な項目 生殖と発生,遺伝,刺激の受容と反応,植物の反応の大部分 追加される主な項目 代謝の一部,遺伝情報の一部,生態(植生,生態系の保全)